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9月下旬、秋の風が吹き始めた北方の大地は豊作のシーズンを迎えています。トウモロコシやサツマイモ、落花生など様々な旬の味は、収穫の喜びを感じさせてくれます。こんな時、いつも音楽詩人・李健の歌「风吹麦浪(うねる麦の波)」の一節「そよ風は収穫の匂いを連れてきて、私の顔にそよそよと吹いた。あなたの優しい声を思い出し、涙が零れてきた」という歌詞を思い出さずにはいられません。李健の温かくてロマンチックな歌声には、この騒々しい社会に暮らしている人々の心を安らかにさせる神秘的な力があります。今回の中国メロディーは音楽詩人・李健の物語をお話ししましょう。
心癒す李健スタイル
今年43歳の李健は、清華大学電子工学部の秀才から音楽の世界に飛び込みました。音楽創作に携わってきた10数年間、彼は自分の音楽の道を孤独に歩み、李健スタイルの音楽を作り上げました。
李健の暖かく抒情的な色彩に富む音楽は、まるで世界の安定剤のようで、多くの人々の心を癒しました。過去の美しい時間を懐かしく思ったり、現実に傷ついた心を慰める彼の歌詞は、騒がしい都会に暮らす人々の心を落ち着かせる力に溢れています。そこから李健は抒情的な音楽詩人と呼ばれるようになります。
音楽の夢
彼は北方の少年で、ハルビンの松花江の畔に生まれ育ちました。音楽との縁は、彼が孤独だった中学時代でした。当時、内気な彼はいつも幻想(げんそう)の世界に浸っていました。1988年6月28日、彼の日記には次のように記されていました。「家の窓の傍に座り、外を眺める時、ふと『ギターを学びたい』という考えが頭の中に湧いてきた。映画『道端のギターバンド』の中のバンドメンバーのように自分の音楽世界を作りたい……」。
李健の夢は母親の心強い後押しを手に入れ、母は2か月分の給料を貯めて、彼にギターを買ってあげました。その後、このギターはずっと李健と寄り添い、孤独な中学時代を過ごしていた彼に多彩な音楽の世界のドアを開きました。
音楽がくれた自信
卒業後、李健は優秀な成績と音楽の才能で推薦入学の資格を獲得し、清華大学電子工学部に入学しました。しかし、大学に入学した喜びはまもなく厳しい現実に打ち砕かれました。今までは、勉強に自信があったものの、天才ばかりが揃う清華大学の同級生と比べて、大きなプレッシャーを感じるようになりました。
勉強で悩んでいる時、彼は偶然、清華大学キャンパスソング大会に参加し、大会の最優秀賞を獲得しました。更に学校の代表歌手として全国大会で金賞に輝きました。音楽を通して再び自信を取り戻した李健は、卒業前に清華大学のキャンパスでコンサートを行い、先生とクラスメートから好評を博しました。
バンド「水木年華」結成
大学卒業後、李健は自分の音楽の夢をあきらめず、誰もが羨む国家放送テレビ総局の電子工学エンジニアという仕事を捨てて、清華大学の先輩・廬庚戌と一緒にバンド「水木年華」を結成し、本格的に音楽の道を歩み始めました。
リリースした初アルバムのタイトル曲「一生有你(君と一生に)」は当時大ヒットし、「中国オリジナル曲ランキング」で3週連続トップに立ちました。デビューしたばかりの水木年華は当時、中華圏のすべての音楽新人賞を獲得しました。「君と一生に」という歌は今でもキャンパスソングの代表曲として、1980年代生まれの人々の青春の記憶となっています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 想念你(あなたを思う)
この歌は李健個人が最も好きな作品で、父親が亡くなった一回忌の時に作りました。温かい夕日の下、父親と一緒にいた美しい時間を懐かしみ、過去に再び戻ることができない現実に心を痛める気持ちを歌いました。
歌詞:
夕日が天と地の交わるところでためらっている
空と大地 このすべてに名残を惜しむ
あなたは一言も言わずに結局離れる
そよ風のように通り過ぎ まだ温かさが残る手を放す
2曲目 松花江(しょうかこう)
この歌は李健の故郷と故郷の川・松花江への深い愛情を歌っています。ギターだけの素朴で美しいメロディーは、故郷を懐かしく思う気持ちを表現しています。2016年、李健は故郷ハルビンでコンサートを行った時に、「松花江」を歌い、多くの観客の涙を誘いました。
歌詞:
ここは私の故郷
美しいところ
松花江の水よ
私の幼い時の海
私を育ててくれ
私のために傷を負った
3曲目 一生有你(君と一生に)
歌詞:
君が離れる夢を見た
僕は涙で目が覚める
夜風が窓を通り過ぎる
君は僕の愛を感じているのだろうか
年を取る日が来ても
君はまだ僕とともにいるのだろうか