北京
PM2.577
23/19
聞き手:王小燕
引き続き上海からの五十木さんがゲストです。今週は企業経営者の視点からお話を伺います。
「中国のことが部分的にわかっていても、系統的には説明ができない」
上海滞在が長くなるのにつれて、五十木さんに新しい悩みがありました。その時、若い社員からの言葉に「電流が走った」と言います。その言葉とは、「活到老、学到老」(生きている限り、勉強は続ける)です。さっそく行動に移り、学生時代から夢見ていた「中国留学」にチャレンジすることにしました。
北京大学経済学院のEMBA(Executive MBA)コースに願書を提出したところ、入学が決まり、仕事の合間に、毎月集中講義を受けに北京に来ていました。1年間の留学期間中、7本の論文を仕上げただけではなく、北京大学の日本語翻訳MTIコースの特任教授になったことも大きな収穫でした。
「北京大学で出会った日本語修士課程の指導教官に当たり前のように、『日本語を専攻している学生さんは、やっぱり日系企業で働く人が多いでしょうか』と聞きましたが、『いいえ、今はそうでもないです』という答えに驚きました」
話を良く聞きますと、中国人学生の間では、日本企業のイメージは必ずしも高くはなく、中には間違ってとらえられていた部分もあり、気がかりだったと言います。
「先生、私に一回授業で日本企業について紹介させてください」
このようにして始まった中国人大学生との交流はその後、「日本企業文化論」という科目になって、現在も続いています。教材はすべて自分で準備し、経営第一線で活躍中の日本人企業関係者を連れていく時もあります。カリキュラム作りに込めた思いについて、「日本では百年企業がたくさん育っています。今の学生が経営者になっても、百年企業になってほしい」
ところで、このように何歳になっても若い活力に満ちている五十木さんから、日本語を学んでいる若者へのお勧めがあります。聞くと驚きます。
「外国語を学んでいる若者には、ぜひ習ってほしいもう一つの世界共通言語があります。それは、プログラミング言語なのです」
情報産業の発展を黎明期から立ち会ってきたベテランは、何故このように勧めたのか。詳しくはぜひ番組をお聞きください。
今回も番組の最後は、大学生の皆さんからの悩み事相談教室があります。短い面接試験の中で、試験官の印象に残る答えをするには、どうすればよいのか、複数の会社から内定をもらった時、どこを選べば良いのか…五十木先生の回答にご期待ください。
【プロフィール】
五十木 正(いかるぎ ただし)さん
株式会社ワークスアプリケーションズ(上海万革始応用軟件有限公司)中国法人董事長
株式会社レジェンドアプリケーションズ副社長・中国法人(北京)董事長
北京大学外国語学院日本語MTIセンター(修士課程)特任教授
一般財団法人コンピュータソフトウェア協会国際担当理事
1951年 群馬県生まれ
1974年 慶応義塾大学法学部政治学科卒(中国近代政治史専攻)
1974-76年 日中友好商社勤務
1976年から日本IBMに転職。その後、約30年に渡りマーケティング部門に勤務。
2004年より中国IBMに出向。上海のIBM中国室長としてグローバル・アウトソーシングの仕組みを構築・展開したほか、中国鉄道省との合弁プロジェクトや電子部品国際調達プロジェクトに参画。
2005年にワークスアプリケーションズの経営理念に共鳴し、入社。
以降、中国進出に向けた各種準備に奔走し、2012年の中国法人設立時より現職。
2014年に北京大学経済学院EMBAを卒業(優秀学生賞受賞)し、北京大学からの指導要請により日本語技能修士課程(MTI)の特任教授として講座を担当。