北京
PM2.577
23/19
今年も「もう幾つ寝るとお正月」と数えるほどの日数になってしまいました。北京では旧暦でお正月を祝うので、この時期でもお正月の準備はまだ、まだと言った感じです。それでも来年のカレンダーを用意していると、いよいよ今年も終わるんだなぁと実感してきます。みなさんにとって今年はどんな年でしたか?いろんなことがあったけれど、最後は静かに締めくくりたいなと思うのは日本人だからでしょうか。中国の旧暦大晦日は、賑やかな花火や爆竹の中、新年を迎えますから日本の大晦日の夜のイメージとはだいぶ違います。私の日本の大晦日のイメージは、深々と雪が降る中、ゴーンと除夜の鐘が静寂を破って鳴り響く感じです。108つの鐘の音に合わせて今年の出来事が浮かんでは消えていく。さて、今年最後のご紹介は白居易の「夜雪」です。
作者、白居易は中唐の詩人。字の白楽天の名前の方が、日本では有名かもしれませんね。分かりやすい詩が多くファンも多くいます。役人でしたが、権力闘争に嫌気がさし、晩年は詩と、酒と琴を三友とする生活を送りました。今回の詩も情景が目に浮かび、分かりやすいのではないでしょうか。タイトルの夜の雪「夜雪」、も夜に降る雪のことですからシンプル、かつ分かりやすいですね。「衾枕」は、掛け布団と枕のことで、「窗戸」は窓と戸ではなく、窓のことです。いつの間にか枕や布団が冷たくなっていることを不審に思っていると、窓の辺りが明るくなっている様子が目に入る。積極的にみる時は、「看護」の「看」で、この「見る」は目に入るというようなニュアンスです。明るくなっているのは、雪あかりですね。次の句で「雪の重さを知る」と言っています。つまり、たくさんの雪が降り積もったのでしょう。竹が雪の重さで折れるのですから。とても解りやすい詩ですが、「夜雪」のたった二文字で黒と白のモノトーンの世界がはっきりとイメージされます。そして、「雪」がテーマなのに、雪の様子については直接触れず、寝具が冷たいと触覚や外が明るいと視覚、竹が折れる音と聴覚について触れ、五感で雪を表現しています。さすが白居易といった感じです。