北京
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2017年3月に日本で封切られた『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が5月30日に中国でも一般公開されることが決定しました。中国題は「哆啦A夢:大雄的南極氷氷涼大冒険」となっています。公開に先駆け、中国版トレーラーと中国版ポスターが発表されました。
前作『ドラえもん 新・のび太の日本誕生(中国題:哆啦A夢:新•大雄的日本誕生)』の中国公開から約1年ぶりとなる本作は、『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』(2015)以来2年ぶりの、過去作のリメイクではないオリジナル作品でもあり、シリーズとしては初めて南極を舞台にしています。原案は漫画『ドラえもん』18巻収録作品の「大氷山の小さな家」だそうです。
日本では興行収入41億4795万円を超えてシリーズ最高を記録したため、中国での成績も期待されています。中国では中国電影集団公司と華夏電影発行有限責任公司が中国大陸での配給・発行を手掛け、八一電影制片厂が翻訳を担当しています。
【ドラえもんの中国での軌跡】
「ドラえもん」は1980年代に「機器猫(ロボットネコ)」の中国題で漫画が初出版されました。当時、「漫画は子供の読み物」と先入観のある中国では子供の間でしか人気が出ませんでした。その後、アニメのテレビ放送は1991年より開始。テレビが主要メディアの時代であったため、子供だけでなく幅広い層にわたり、ファンを増やしてきました。「ドラえもん」の中国訳は、80年代から90年代にかけて「機器猫(ロボットネコ)」や「小叮当(シャオディンダン=首につけた鈴の音)」がかなり浸透していましたが、ここ10年間で中華圏で統一しようとの呼びかけにより、音訳から生まれた「哆啦A夢(ドゥオラーエイモン)」が定着しました。
劇場版の初公開は2007年7月、日本で前年に公開された『ドラえもん のび太の恐竜』(2006)でした。それ以来、2008年1月と2009年8月にも『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』(2007)と『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』(2008)の公開が相次ぎ、劇場版の中国公開は3年間続きました。
中日文化交流の低迷を受けて、「ドラえもん」の劇場公開は2010年からしばらく中断していましたが、5年後の2015年に復活を遂げます。シリーズ初の3D劇場版『STAND BY ME ドラえもん(中国題:哆啦A夢:伴我同行)』が2015年5月28日に中国大陸で封切られました。「ドラえもん」シリーズとして6年ぶり、日本映画の一般公開としては、2011年11月に公開された『名探偵コナン 沈黙の15分』以来、実に3年半ぶりとなりました。初動記録は2億4000万元(約47億円)で週間ランキングのトップに立ち、最終興行は5.3億元(約100億円)を計上し、公開からたった11日間で日本での最終興行収入83.8億円を驚異的なスピードで超えるなど、中国でのドラえもん人気を再確認させられる結果ともなりました。
また、2016年にも『ドラえもん 新・のび太の日本誕生(中国題:哆啦A夢:新•大雄的日本誕生)』が公開され、1億元以上の興行成績を上げました。今回の『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』によって再び「中国での3年連続劇場公開」を達成したドラえもん。ヒットを記録することで、来年の新作公開につながっていくよう期待されています。
(ミン・イヒョウ、謙)