北京
PM2.577
23/19
2013年の4月から始めたこの番組、5回目の春が巡ってきました。始めた当初はこんなに長く続くとは思っていませんでした。私が知っている季節にちなんだ漢詩なんて、そう多くはなかったからです。でも、始めてみると枯れることの無い泉のように次から次へと漢詩に出会いました。本の中で、ネットで、旅先で。漢詩に興味を持ったおかげで、中国を旅していても、「ここであの漢詩がつくられたのか・・・」と、今までよりも深く旅を楽しむことができました。漢詩の世界とホンモノの世界を旅するうちにゴールが近づいてきたようです。今回で、この番組も最終回となります。先日、四川省の成都にマラソン参加のためにでかけました。ここには、有名な詩人杜甫が暮らしたと言う草堂があります。もう20年以上前ですが以前も観光したことがある場所ですが、漢詩の番組を担当している今はその時とは違って、なんだか杜甫という友達の家に行った様な感じがしました。「春望」「春夜 雨を喜ぶ」「客至る」、番組でも紹介した作品が頭をよぎります。今回は、杜甫の「春の日李白を憶う」を紹介します。
作者、杜甫は盛唐の詩人。何度も登場していますね。日本でも李白などと並んでよく知られている詩人です。詩の聖人、詩聖と呼ばれる杜甫と詩の仙人、詩仙と呼ばれる李白は、それ33歳と44歳の時に洛陽で知り合い、意気投合します。その後、一緒に旅に出掛けるなど2年ほど交友が続きます。しかし、やがて李白は江東に、杜甫は長安へ住まいを移し、以来二人が出会うことはありませんでした。それでもお互いを敬愛しあっていたようです。その証拠に、今日紹介したような詩が残っています。春の訪れとともに懐かしく友達を思う。春、旅立ちの時は、人生を振り返る時でもあります。
長い間、お付き合いいただき、ありがとうございました。