北京
PM2.577
23/19
00:00:00
00:00:00
|
4月の連休の清明節前後、中国南方地方では年に一度の茶摘みのシーズンを迎えています。このお茶の香りが漂う季節に、茶摘み娘たちが茶摘み唄を歌いながら作業する様子は、春の茶畑に明るい色彩を添えています。今回の中国メロディーは中国の茶文化をテーマにお送りしましょう。
茶の起源
お茶は中国原産で紀元前2700年ごろ、神話に登場する神農によって発見されました。茶文化は8世紀の唐の時代から中国各地で起こり始め、唐の文人・陸羽が著したお茶に関してまとめた書物「茶経」は、この時代に茶文化が花開いたことを意味しています。その後、伝統的な儒教・道教文化や農耕文化と茶文化は融合し、人々の心を癒し、知恵を啓発する哲学の境地へと昇華しました。
また、お茶は自然の産物として、苦味の中にも甘味があるという特性は中国人が提唱する「はじめに苦労を乗り越えなければ、幸せはやってこない」という理念に一致することからも、中国の人々に好まれています。
茶と人生
中国では茶道は人生に例えられ、さらにお茶の入れ方は人生の道理と同列に論じられます。茶葉が熱湯に浸されてからお湯の中で浮き沈み、葉先がゆっくり広がって、豊かな香りが広がり、最後には変化がなくなるという四つの段階を経る様子は、人生の段階にたとえることができます。
まず、初めて社会に出た少年はまるで熱湯に浸された茶葉のように恋愛と仕事の渦中をさ迷いながらも、恐れることなく挑戦し続ける段階です。次は青年期に入り、様々な経験を積んで徐々に自由自在に飛べるようになり、大空を飛ぶ鷹のように自分の目標を目指して困難を恐れずに全身全霊で飛び込む段階です。壮年期に入ってからは、社会の大黒柱として、徐々に自らの知恵と力が光を放ち始めます。確かな仕事で成果を出しながら、周りの人を大切する段階です。最後の老年期には、すべてが平坦に戻り、静かに歳月を受け入れる段階です。
茶館
中国では茶館は、人々がお茶を味わいながら休憩する場所です。各地にある茶館は地元の伝統文化を取り入れているため、地方それぞれの特色に富んでいます。たとえば、北京の茶館は北京の伝統文化の重要な窓口で、貴族から一般庶民まで各階級によって茶文化も異なっています。
著名な小説家・老舎が1957年に発表した現代劇「茶館」では、茶館を舞台にして、清の末期から中華民国までの半世紀近くに及ぶ中国社会の様子を描きました。この舞台となる茶館の経営者・尹盛喜のほかに、清の末期の貴族や資本家、農民、警察、荒くれ者など50もの人物が登場し、当時の北京の人々の暮らしぶりを生き生きと表現し、中国現代劇の代表作と評価されました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 采茶舞曲(茶摘み舞曲)
この歌は浙江省の民間音楽の代表曲で、そのなめらかで美しい旋律は農家の春の田植えと茶摘みで忙しい場面をいきいきと描きました。
歌詞:
川の水は清らかで長い
両岸の風景が美しい
兄さんが段々畑で田植えに汗を流している
妹は山で茶摘みに忙しい
みんなが苦労を恐れず競い合う
2曲目 采茶歌(茶摘み唄)
童謡のこの歌は、少女たちが朝、南山の茶畑でお茶を摘む楽しげな場面を歌いました。
歌詞:
まん丸い太陽が昇り
鳥の鳴き声が響き渡る
竹籠を持って南山へ上る
一歩一歩進むといつの間にか茶畑に着いていた
仲間と「おはよう」の挨拶を交わす
3曲目 前門情思大碗茶(前門の大碗茶)
前門は北京の下町のことで、大碗茶というのは茶碗に注いだお茶を売る屋台です。この歌は前門の近くで暮らしていた庶民の生活を描いています。
歌詞 :
お爺ちゃんは幼いころからここでよく遊んでた
高い前門は私の家の傍にある
お爺ちゃんの三度の食事は
穀物パン 漬物 大碗茶
世間には多くの飲み物があるけれど
大碗茶は一番安くて
芳醇な香りがする