北京
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姜武(チアン・ウー)は1967年河北省唐山市生まれで、トップ俳優、姜文(チアン・ウェン)の実弟としても知られています。兄の名が「文」、弟が「武」であるのは、文武両道に基づく両親の考えで、家族の中で勉学と運動の両面にバランスが取れるようにという願いを込めて名付けられたものだそうです。
姜武は、兄の姜文が進学した中央戯劇学院に合格することはできなかったものの、3年後には同じく中国映画の名門、北京電影学院に入学。俳優としては兄の影響を受けてはいますが、生まれつきの才能もあり、出演作品で堅実で個性あふれる印象的な演技を見せつけています。ブレイクのきっかけは1999年の中国映画『こころの湯(原題:洗澡)』。この作品で姜武は知的障害者の役を好演し、第7回北京大学生映画祭をはじめ国内で数々の男優賞を受賞しました。その後、2013年には賈樟柯 (ジャ・ジャンクー)監督の『罪の手ざわり(原題:天注定)』の主演に抜てきされます。この作品はカンヌ国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、脚本賞を受賞したほか、同年キネマ旬報の外国映画ベストテンでは3位に選ばれています。
映画だけでなく、ドラマや舞台でも活躍している姜武。ドラマの代表作には2001年の『空鏡子』や2004年の『別了温哥華』、2009年の『満堂爹娘』、2011年の『誓言今生』などが挙げられます。
そんな姜武は今年、俳優業を続けながら映画プロデビューサーや監督としてマルチな才能を発揮し始めています。初めてプロデューサーを担当したラブコメディ『完美有多美(The Door)』が今年2月に封切られました。この作品は、姜武が自ら主演を務め、若手の新鋭監督、梁棟(リャン・ドン)を起用し、完璧な人生を探すためにタイムトラベルに出かけた主人公がいろんな人生の課題にぶつかりながら、人生の大切なことに気づいていくという、哲学的ラブファンタジーになっています。兄である姜文御用達の制作チームを起用したという、兄弟の黄金タッグが送る新作としても注目を集めました。
また、姜武の初監督作品『髪小児(Childhood Buddy)』も遂に今年完成することになります。これは『完美有多美(The Door)』の梁棟監督が脚本を担当し、コメディや恋愛などの要素を盛り込んだロードムービーに仕上がる予定です。キャスティングと公開日は未発表のままですが、姜武の監督デビュー作として大きく期待されています。