北京
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3月下旬の北京は、草木が枯れた寂しい冬の景色が徐々に和らぎ、明るく生気溢れる春のソナタが中国北方の大地で奏でられています。こんな麗らかな春は、美しい出会いの季節でもあります。今回の中国メロディーは出会いをテーマにお送りしましょう。
喜びの出会い
「この妹なら、ぼく会ったことがありますよ」。これは清の時代の古典小説『紅楼夢』の主人公・賈宝玉がヒロイン・林黛玉と初めて出会う時、賈宝玉は従妹の林黛玉と初対面ながら旧知の中のように意気投合できると思い、冒頭のセリフを口にします。一方、林黛玉もびっくりしながらも「はて、おかしなこと。どうもどこかで一度お目にかかったような気がするわ」と思います。
これは恋人同士になる二人の初遭遇のシーンですが、お互いに心が通じ合っていることをありありと表現しました。きっとこれは男女の喜ぶ出会いの一場面と言えるかもしれません。
運命の出会い
著名な作家、老舎は幼い時、家が貧しく、9歳になっても学校に行くことができませんでした。幸い近所にいた裕福な劉おじさんの助けで私塾に入ることができ、新しい人生の道のりが始まりました。
その後、劉おじさんの寛大な思いやりは、老舎の心の中に根を下ろしました。この偉大なヒューマンケア精神の影響によって、老舎は北京の下層社会の人々の悲しみと苦しみに深い同情を寄せることになります。小説『らくだのシアンツ』の中で車引きを生業とするシアンツや小説『四世同堂』の祁老人など、無名の人物を描きだし、中国文学史において確かな足跡を残しています。
挫折との出会い
人生の様々な出会いは、ある時には幸せな喜びを感じさせ、ある時には苦難とため息をもたらします。しかし、粘り強く最後まで頑張った先には、より素晴らしい自分との出会いが待っていることでしょう。
今から1200年前の奈良時代、唐の高僧・鑑真和上は聖武天皇に招かれ、12年の間に5回の渡航失敗と失明を経験しながらも、苦難の末に中国から日本にわたって仏教を伝え、日本における律宗の開祖となりました。幾度ともなく困難に見舞われても、志を変えずに夢を求めた鑑真和上は、玄奘法師と共に仏教の歴史において偉大な伝道者と伝えられています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 枉凝眉(悲しむことしかできない)
この歌はテレビドラマ「紅楼夢」の主題歌で、賈宝玉と林黛玉との恋の夢が、様々な理由によって叶えられないことを嘆きました。
歌詞:
もしも縁がないと言うなら
何故彼と出会うのだろうか
もしも縁があると言うなら
何故願いは叶えられないのだろう
2曲目 重整河山待後生(祖国の復興を若い世代に託す)
この歌は老舎の長篇小説「四世同堂」を元にアレンジした同じタイトルのテレビドラマの主題歌です。
歌詞:
千里には刀が光り
町の中に恨みの火が燃える
月は丸くなるが家族団欒はまだ遠い
花が咲く土地に平和はまだ来ない
戦地に赴き雪辱を果たそう
祖国の復興を若い世代に託す
3曲目 人生只做一事有何妨(一つのことをするだけでも構わない)
この歌は2007年のテレビドラマ「鑑真東渡」の挿入歌「一つのことをするだけでも構わない」です。
歌詞:
広々とした空が果てしなく広がる
一度の承諾は千金の重みがある
一生後悔することはない
一つのことをするだけでも構わない