北京
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春の気配が濃くなってきました。北京は最低気温が氷点下になることはなくなり、最高気温は20度近くまで上がる日もあります。晴れて風のない日の日中は、東京と同じか、東京以上に暖かいかもしれませんね。それでも、用心深い北京の人は、まだ冬用のブーツを履いている人もいます。寒い間は、ついつい背中を丸めて足元ばかり見て歩いている間に、街路樹は春の装いに変わっていました。楊樹と呼ばれる北京の街路樹、ポプラの一種ですが、枯れ枝にいつしかミノムシのようながくが付き始めました。これが落ち尽くすと若い芽が顔を出します。そして、北京の春の風物詩、白い綿毛の柳蕠を飛ばすのです。公園の池の厚かった氷もすっかり溶けて、柔らかい日差しを受けてキラキラしています。春の装いに着替えているのは、花だけではないようです。さて、今日は前回と同じ岑参の作品を紹介します。「春夢」です。作者、岑参は盛唐の詩人。湖北省の人。湖南省出身と言う説もあります。
西北辺境地域の役人の経験もあり、辺境の風物や辺境の地で人を見送る詩などを得意としました。書道家としても知られる顔真卿の下で働いたこともあります。タイトルの「春夢」は、春に見た夢ということです。本当に見た夢なのか、それとも儚い夢という意味なのでしょうか。夢という字は、春という季節と相性がいいように思います。でも、シェークスピアは「真夏の夜の夢」という作品を書いていますから、東洋人と西洋人では「夢」のイメージが違うのかもしれません。「洞房」は、奥まった部屋のことです。女性の部屋という意味もあるようです。どちらに解釈するかで、大分詩の意味合いは、変わってきますね。次の句で「美人」の単語がありますが、これは、美しい女性ではなく君子のこと。作者の友人を指しています。「湘江」は湖南を北上して貫き洞庭湖に注ぐ川で、南方の大河の代名詞です。最後に出て来る「江南」は、揚子江の南の地です。夢の中、江南を数千里も友人を探して歩き尽くしたと言っていますから、親しかった友人が江南地方に移動し、その友人を思って夢を見たことを詩にしているようです。春の夢、あなただったら、どんな夢をみますか?