北京
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香港版アカデミー賞といわれる香港電影金像奨。その36回目の授賞式が4月16日に予定されています。これに先立ち、全賞のノミネート作品が発表されました。香港の名優・曾志偉(エリック・ツァン)の息子である曾國祥(デレク・ツァン)の監督作品『七月与安生(Soulmate)』、日本公開も果たした周星馳(チャウ・シンチー)作品『人魚姫(原題:美人魚)』、話題作『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義(原題:寒戦)』の続編『寒戦2(Cold War Ⅱ)』、1990 年代の香港「3大賊王」の逸話を元にした犯罪サスペンス『樹大招風(Trivisa)』、それに香港映画としては珍しい野球映画『点五歩(Weeds on Fire)』の5本が最優秀作品賞の獲得を競うことになります。
中でも最有力候補なのが、『七月与安生(Soulmate)』。最優秀作品、監督、脚本、主演女優を含む最多12部門にノミネートされています。特に主演の周冬雨(チョウ・ドンユイ)と馬思純(サンドラ・マー)は最優秀主演女優賞にWノミネートされており、台湾金馬奨に続き、2度目のW受賞となるか大きく注目されています。同作品は女流作家、安妮宝貝の10年前のネット小説が原案で、七月と安生という性格のまったく違う2人の女の子の10数年にわたる友情と恋愛を描いた繊細で美しい物語となっています。
10部門にノミネートされた『寒戦2(Cold War Ⅱ)』は、2013年の電影金像奨で9部門を制した話題作『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義(原題:寒戦)』の続編だけあって、大きく期待されています。2016年上海国際映画テレビ祭のオープニングを飾った同作は前作に引き続き、汚職事件に揺れる香港警察の内部事情をリアルに描くサスペンスアクションに仕上がっています。
この1月に日本公開を果たし周星馳(チャウ・シンチー)作品『人魚姫(原題:美人魚)』は監督賞を含む8部門にノミネートされています。この作品は大陸部だけでも年間34億元近くの興行収入をたたき出し、国産洋画を通して中国映画史上ダントツ1位に輝いています。最高のエンターテイメント作品といっても過言ではないこの作品、香港アカデミーによる評価も気になります。
主演男優賞を含む7部門にノミネートされた犯罪サスペンス『樹大招風(Trivisa)』は1990 年代の香港「3大賊王」の記録を元に制作したもので、主演の任賢齊(リッチー・レン)と林家棟(ラム・カートン)がWノミネートされています。
一方で、新鋭監督の陳志発がメガホンを取る野球映画『点五歩(Weeds on Fire)』が作品賞、撮影、助演男優、新人俳優などを含む8部門にノミネートされ、一番の「ダークホース」とされています。これは、実話をもとに、香港沙田の少年野球チームの成長を描いたもので、他の作品と違って話題性の少ない作品でしたが、公開後にクチコミで好評を博しています。
(ミン・イヒョウ、謙)