北京
PM2.577
23/19
聞き手:王小燕
今週と来週は北京を拠点に、中国でスタンダップコメディアンとして活躍中の近松貴子さんにお話を伺います。
近松さんは本籍が名古屋。4年前に北京にわたり、現在は大学で日本語を教える傍ら、コメディアンとしても活躍中。
なぜスタンダップコメディなのか、いつもどのようなネタで観客を笑わせているのか、外国語の壁をどうやって超えたのか…詳しくはインタビューをお聞きください。
■インタビューの抜粋
――スタンダップコメディとは?
分かりやすく言えば、一人漫才です。社会の風刺などを取り入れながら観客を笑わせます。中国語では「脱口秀」といいます。多くの人がトークショー(talkShow)だと思っているようですが、元々欧米伝来のもので、スタンダップ・コメディー(stand-up comedy )といいます。
――スタンダップコメディは今、中国でじわじわとブームですか?
北京では、週に3、4ヶ所で舞台があると思います。その他に、即興劇や英語の「脱口秀」、パントマイム劇、音楽(バンド)などがあります。しかも、この世界は狭いのでほとんどの人が知り合いです。私は日本にいた時、このような活動には注目していなかったので、よくわからないが、もしかして日本より盛んかもしれません。
――確か、「貴子さん」が芸名のようですね。
はい、本名は「近松沙也加」といい、「貴子」はニックネイムです。以前「日本鬼子」をテーマにしたネタを書いたことをきっかけに、「貴子」と名乗るようにしました。中国の方たちに覚えてもらいやすいし、多くの人が「日本の女性の名前には『子』がついている」と思っているので、「貴子」にしました。
――スタンダップコメディと出会ったきっかけは?
2015年10月、ウィーチャットで「脱口秀 女子专场」というのを目にしました。何だ、これは!絶対行かねば!と思い、即チケットを2枚買いました。公演は、複数のアマチュアの女の子がネタを、それぞれ披露していました。一人外国人の女の子もいました。何か、私にもできるんじゃない?自分も舞台の上で、中国語でネタを披露できたら、絶対気持いよな~、と思いました。
このステージはコメディアン・宋启瑜の催したものでした。彼は脱口秀の講座も開いていたので、私は即講座に応募して参加しました。講座は2週間ほど続いていましたが、その御、すぐに山東省での公演に参加しました。私にとっての初舞台でした。
――貴子さんにとって、スタンダップコメディの魅力は?
多くの仲間に出会い、中国や中国人を見る目も豊富になりました。それから、普段の生活の中で、自分の考えをみんなにしっかり聞いてもらえる機会なんてあまりないですが、「脱口秀」の舞台の上では聞いてもらえる、というのも魅力のひとつかも知れません。
【プロフィール】
近松貴子さん(ちかまつ・たかこ)さん
1987年名古屋生まれ
父の影響で、5歳でサッカーチーム「グランパスエイトジュニアニーム」に所属。
大学卒業まで名古屋で過ごし、その後大阪で就職。
2012年春 北京へ一人旅
2013年4月 大阪での仕事をやめ北京へ渡る
2013年9月から 北京の大学で日本語を教える
2015年10月 北京の劇場で「脱口秀 女子专场」を初めて見たことがきっかけになり、コメディアン・宋启瑜さんのスタンダップコメディ教室に通う。後に、「近松貴子」の芸名でステージに立つ。現在は北京の大学で日本語を教えるかたわら、公演活動を続けている。これまでに山東、湖南、河南、江西、深センなどを公演で訪れることがある。現在も新しいネタの創作と練習に日々精進中。
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