北京
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三月初頭、長く寒い冬が徐々に和らぎ、暖かい春風が眠っていた大地を呼び覚ましています。中国南部の少数民族には、旧暦の三月三日を祝う風習が残されています。今回の中国メロディーは中国の旧暦三月三日の風習と音楽をお送りしましょう。
中国最古のバレンタインデー
春は恋の季節です。そんな春の恋は万物を育み、青春に潤いを与えます。旧歴の3月上旬になると温かい春が訪れ、桃の花が中原の大地に咲きそろいます。2000年前の中国で最も古い詩集「詩経」の中の「鄭風・溱洧」という詩歌は当時、旧歴三月三日、上巳の節句に若い男女がデートしている情景を描きました。
当時は、上巳の節句になると、普段、会うことが許されない若い男女たちは、この日だけは自由にデートすることができ、甘美な恋の時間だったと言われています。そのため、上巳の節句は中国の最も古いバレンタインデーと呼ばれることもあります。
チワン族の恋の節句
旧歴三月三日は古くは、古代中国神話に登場する神の伏羲と女神・女媧が結婚する日とされています。現在この節句は、中国南方の少数民族では今なお、旧歴三月三日を祝う風習が残されています。
この日にチワン族の村を訪れると、まるで歌の世界に入り込んだようです。色とりどりの絹で飾られた歌合戦の場である「歌棚」と呼ばれるところで、綺麗な民族衣装を纏う若い男女が歌合戦や草笛を吹くなどのイベントを行います。もし、二人が歌で心を通じ合うことができれば、互いに贈り物をして愛を確かめます。そのため、旧歴三月三日は、現地の人にとって恋の節句と見なされています。
伝説の歌女神・劉三姐
中国西南部のチワン族では、旧歴三月三日は歌の女神・劉三姐を記念する祝日です。劉三姐はチワン族に伝えられる伝説上の女性で、山の歌である「山歌」の歌い手です。1960年代の映画「劉三姐」では、聡明で美しい娘・劉三姐は機知に富んだ山歌で地主と闘い、最後は地主の魔の手から逃れて恋人と自由な暮らしを送るという物語です。
映画「劉三姐」は上映当時大人気になり、映画中の挿入歌は中国全土で大ヒットしたほどです。その後、劉三姐はチワン族の旧歴三月三日の代表人物となりました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 在水一方(川のほとりに)
この歌は「詩経」の詩をモチーフにした恋の歌で、ラブソングの名曲として中国で知られています。
歌詞:
何処までも続く青々とした草 広く果てしない白い霧
あの美しい人は河の向こう岸にいる
青々と茂る草 白い霧で辺りは霞む
あの美しい人は川のほとりに住んでいる
流れに逆らって進む
あの人に近づきたいけれど
水の流れは速くて 道は長く遠い
流れに沿って進んでいく
2曲目 壮乡美酒喝不够(チワン族の美酒が飲み足りない)
歌詞:
青々と茂る山に木綿の花が一面に咲いている
鮮やかな花が遠方からの客を迎える
チワン族の美酒が飲み足りない
美酒を交わして山の歌を歌おう
3曲目 山歌好比春江水也(山の歌は春の川のよう)
この歌は映画「劉三姐」の挿入歌です。
歌詞:
山の歌は春の川のよう
暗礁と曲がりくねった道も恐れない
山の歌よ
こちらが歌うと 向こうも歌う