北京
PM2.577
23/19
春節の長い連休も終わり、今週から本格的に仕事がスタートした職場が多いようです。それでも、まだ学校などはお休み中で、いつもの街の賑やかさが戻ってくるまでは、もう少しかかりそうです。春節休みでのんびりしているうちに立春を過ぎ、暦の上では春になりました。北京はまだまだ日中の気温が氷点下という日もありますが、降り注ぐ陽ざしには優しさがあって確かに春を感じます。いつの間にか日が伸びていて、少し前ならもう暗かった夕方5時頃はまだ日差しがあります。一足早く陽ざしだけ春を迎えているようです。でも、公園などの木々はまだ葉を落として寒々としています。池や川の氷も厚く、もうしばらくは厚手の長いコートが手放せません。自然の景色に彩りが添えられるのは、もう少しかかりそうです。さて、今日は羅隠の「京中正月七日立春」を紹介します。
作者、羅隠は五代梁の詩人。浙江省の人。10回ほど進士の試験を受けますが、合格できませんでした。それでも歴史上の出来事や人物を主題として詩歌を作る詠史に長けていて、一族の羅鄴(ギョウ)・羅虬(キュウ)とともに"三羅"と呼ばれました。詩のタイトル「京中正月七日立春」は、都での旧暦1月7日が立春という意味です。中国では、旧暦1月7日は人日といい、古来は正月1日を鶏の日、2 日を狗の日、3日を羊の日、4日を猪の日、5日を牛の日、6日を馬の日 そして7日を人、8日は穀物を占う日としていました。その人日がちょうど立春と重なった年に作られた詩です。人日と立春が重なるのは30年に一度。非常に珍しい日だった訳です。その日を、子供のように1、2、3と指折り数えるところから始まるこの詩は解りやすく、インパクトもあります。3句目以降は、樹木の芽が生じ、雁が空を飛び、水の中の魚が飛び跳ねる。春のウキウキした気持ちがはっきりと目に浮かびます。 漢詩のルールに外れるところもありますが、一度聴いたら忘れないような詩だと思います。いいものを持っているのに、ルールに合わない。進士の試験に合格できなかった作者の性格をも反映しているような気がします。