岳雲鵬（ユエ・ユンパン）

　小岳岳の愛称で親しまれるコメディアン、岳雲鵬（ユエ・ユンパン）は85年中国河南省生まれで、人気漫才団体『徳雲社』の中で孫越、朱雲峰、閆雲達と並んで「徳雲四少」（徳雲社の4大売れっ子）と呼ばれています。中国伝統芸能としての漫才を意識しながらも、85年生まれというスマホ世代ならではの新鮮さと敏感さを取り入れており、流行語やネット用語を多用するなど、親近感ある芸風が若者を中心に大きく支持されています。また、ドラマや映画にも活躍を広げ、漫才で培った感性をうまく生かすことで、無二の演技を見せています。

　岳雲鵬は2004年に『徳雲社』の創始者である人気漫才師・郭徳綱に弟子入りすることで芸能界に入りました。漫才のほかにも伝統芸能である「太平歌詞」や「竹板書」といった芸を習得。2005年に『徳雲社』のライブに初出演すると、みるみる人気を集めました。銀幕デビューを果たしたのは2012年のこと。映画デビュー作は廬衛国監督の喜劇『就是閙着玩的』でした。その後、2013年には単独ライブを成功させ、2014年と2015年に中国版紅白歌合戦ともいえるCCTVの新春番組『春晩』に2年連続で登場し、さらに知名度を上げました。ほかにも2015年には、話題の映画『煎餅侠（A HERO OR NOT）』やドラマに出演したり、過去の名曲「牡丹之歌」をベースにした替え歌「五環之歌」がヒットしたりと、あらゆる分野の第1線で活躍するようになりました。

　そして、彼が他と一線を画す超売れっ子タレントとなったきっかけは、リアリティ番組『歓楽喜劇人（Top Funny Comedian）』への出演でした。これは2015年から始まった中国初のお笑い専門番組で、プロの漫才師やコメディアンが集まってひたすら芸を披露し、視聴者の投票で優勝者を決めるというもの。新たなお笑いブームの火付け役ともいわれています。岳雲鵬は、2016年にこの番組の第2シーズンでグランプリに輝いたことで爆発的な人気を得て、ドラマや映画への出演オファーが殺到しました。

　2016年5月に公開された主演映画『从你的全世界路過（I Belonged to You）』がラブコメのジャンルにおける年間最高興業収入を記録し、多くのファンを驚かせたことは記憶に新しいです。そんな岳雲鵬が主演を務める新作映画が、いよいよ2017年1月28日に封切られます。これは人気俳優・王宝強(ワン・バオチャン)の待望の監督デビュー作で、『西遊記』の物語からインスピレーションを受けて現代のインドを舞台に制作されたアクションコメディです。キャスト陣には、岳雲鵬（ユエ・ユンパン）のほか、監督の王宝強(ワン・バオチャン)や若手俳優・白客（バイ・クー）、人気女優の柳岩（リウ・イエン）など話題の顔ぶれが揃っています。