北京
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ナビゲーター 黄競
3月上旬、初春の北京はまだまだ朝晩は寒く感じますが、道端に目をやると黄色い迎春花のつぼみが春の便りを告げています。3月8日は国際婦人デーです。早春の大地がきらびやかで美しい色彩に彩られる頃、全国各地で女性をテーマにした様々な祝賀イベントが行われます。今回の中国メロディーは、「神様が残した唯一の女性パラダイス」と呼ばれる雲南省モソ族の村に入り、その独特な文化と音楽を覗いてみましょう。
ルーグー湖の美しき伝説
モソ族は昔から雲南省北部のルーグー湖という湖のほとりに暮し、今も独自の母系社会を守り、「神秘的な女の国」と呼ばれています。
ルーグー湖には今でも語り継がれる伝説が残されています。優しく美しい女神ガモには恋人がいて、ある夜、恋人のワルプナ山の神様と女神ガモは遠くまでデートに出かけました。しかし、雄鳥が時を告げる頃、久しぶりに再会したこのカップルは別れを告げて帰らなければなりません。そうしなければ、ワルプナ山の神様は彫像と化してしまうというのです。女神ガモは恋人を名残惜しく見送り、ワルプナ山の神様が馬を準備し振り返った瞬間に夜が明けて、女神の恋人はたちまち彫像と化してしまったのです。
女神は悲しみに暮れて涙が溢れ、その涙はたちまち澄んだ湖をつくりました。この湖が今のルーグー湖になったといわれています。また、女神ガモと男の神様の間の「夜に来て、朝に帰る」という「通い婚」は今でもモソ族に残されている風習です。
男女、最も美しい自分を相手に
美しいルーグー湖の湖畔を散歩すると、心地よい漁師の歌が聞こえる中、船の中で寄り添う綺麗なモソ族の娘と格好いいモソ族の若者の姿が水面に映し出されます。まるで俗世を離れた別世界にいるような気持ちにさせてくれます。こんな桃源郷で暮すモソ族は「男は娶らず女は嫁がず」で、生まれた家で母親、兄弟、姉妹と生涯一緒に暮らすという女の国なのです。
モソ族の有名な女性作家ヤンアチェナムさんは、「わがモソ族では、男女は互いに最も美しいところを相手に見せて過ごし、夫婦喧嘩になることはほとんど見たことがありません。もし、カップルが愛し合わなければ、友好的な別れを選ぶ」と紹介しました。
火で語り継ぐ家族のつながり
モソ族の暖かい大家族ではおばあさんがこの家庭の中心で、おばあさんが住む部屋の中には「火塘」と呼ばれる暖炉があり、燃やされている火はいつまでも絶えることはありません。この燃える火は、家族の命脈、つながりを象徴します。
そんなモソ族の大家族には、財産目当ての結婚というのもありませんし、嫁姑の争いもありません。また、恋人の奪い合いも、富の奪い合いもありませんので、充実した生活を送り、とてもおおらかな性格をしています。
番組の中でお送りした曲
1曲目~ 摩梭女儿(モソ族の娘)
歌詞
夕日が西に沈み 君が窓辺で化粧する
月が水面から昇り 君が部屋で待っている
永遠に燃える暖炉の火を守る君が 永遠の花嫁
2曲目~ 「瀘沽湖情思(ルーグー湖の恋愛歌)」
「マダミ」はモソ族の「あなたが好きだ」という意味で、歌の冒頭部分、モソ族の娘がやさしい歌声で「マダミ、マダミ」と好きな人に呼掛けています。その美しいメロディーと歌詞は恋するモソ族少女の想いを生き生きと表しています。
歌詞
マダミ マダミ マダミ
窓の外の星がまるで夢のよう
月光が私の想いを照らす
あの悠久の笛の音は
深い気持ちを呼び起こす
3曲目〜 摩梭人家(モソ族の家)
この歌はモソ族の民謡です。
歌詞:
青い空 白い雲
青々とした山々 緑の木々
誰が青い波をもたらすのか
誰が芳しい美酒をもたらすのか
それは暖炉の傍で咲くお母さんの笑顔
それはモソ族の娘が心の中に秘めた恋心