日本人スタッフのつぶやき326~北京引きこもり指南①

2017-09-14 09:10  CRI

 自宅警備が大好きなむかいだです。

 おそらく局内の同僚以外で一番顔を合わせているのは宅配業者、それもアマゾンやJD(京東)の人なのではないかと思うくらい、様々な買い物を含めた日常の諸々をネットで済ませる生活をしています。

 ということで、私の担当日には「いかに引きこもるか」を中心に、情報をお届けしたいと思います。

 さて、そのネット通販、昔は本だけ、それもサイトでの購入がメインでしたが、今ではスマホがその主戦場となり、生活必需品や食料品の様々な部分を手元で解決でき、各社のアプリも注文した物の現在位置がわかるまで発展しているので、買い物の時間と待ち時間をかなり節約できます。他にもIoTの応用を含めた様々なIT化の動きを実感できるのですが、今回は第一回目ということで、その「さわり」の部分をご紹介できればと思います。

 買い物といっても、想像のつきやすい本、電子機器や様々な生活用品、食品、ミネラルウォーターはもちろんのこと、ごく最近ですが、新鮮な果物を栽培から24時間以内に配達する、というようなジャンルも登場しており、今後どのように発展していくのかが非常に楽しみな状況です。

日本人スタッフのつぶやき326~北京引きこもり指南①

[新鮮なイチゴを届けるBEE QUICKの包装]

 さて、そうした便利さはもちろんですが、今回は通販で「日本と違うところ」を考えてみます。

 一つは、パッケージの違い。日本では、なんでもダンボールに入ってきますが、こちらではかなりの割合で厚めのビニール袋に入った商品が届きます。

 横方向に手で引っ張り開けるこの包装、ちょっと心配ではあります。本がゆがんでしまうことも多々あるのですが、これは現地の方々はあまり期待しない模様。もともと本の作り自体がペーパーバック系なので、少々傷むのは織り込み済み。日本よりもすんなり交換してくれるので、その辺は怖くないんですね。

日本人スタッフのつぶやき326~北京引きこもり指南①

[アマゾンの使用している厚手のビニール包装]

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[ロゴ入りのダンボール包装と、ちょっと荒っぽい中身]

 大量に頼むと、ダンボールで持ってきます。たまにはスポンサーのついた綺麗な印刷の箱も届きます。

 二つ目に、包装。まず本や文房具などの簡単なものの購入の場合、日本のようなシュリンクやプチプチ包装はありません(緩衝材としてはエアパックが入ってきたりします)。マーケットプレイスでの購入では、各書店から送られてくるので(中古品は別のマーケットで売っており、アマゾンは新品しか売らないようです)、プチプチクッション封筒やEMS封筒などで比較的守られた形で送られてきます。

 三つ目には、支払い。これに関しては、かなり手段が増えており、現金・POS端末でのカードでの支払いと、ネットで支払ってしまうなどの他、近々JDではApple Payも導入される模様です(街角の銀聯端末も、「閃付Quick Pass」表示のある端末では使用可能になります)。品物と交換で支払いをするのは、恐らくお金を払ったが届かないなどの不安をなくすために生まれた手段だと思われますが、確かに便利です。

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[日本ではまだ導入されていないApple Payの画面]

 このPOS端末も、種類が結構あるので、次の買い物時には撮影してお届けしたいと思います。

 中国のサービス業は、「便利なことはなんでも取り入れる」という姿勢が目立ちます。そこには、日本人の何倍もの好奇心が根本的動因として存在するのですが、日本のようにまずネガティブに考えてしまう習慣からすると、受容性には驚きに感じることがたくさんありますし、日本企業も学ぶべきではと考えさせられます。

 思うに、多分、守旧派の多い日本は様々な分野ですでに負けているのだといます。

 過去、中国のインフラの弱さは確かに存在しましたし、遅れていました。しかし、中国のその遅れがもたらしたものは、あきらめではなく、「遅れを逆手にとった貪欲な成長」でした。

 国土が広く、電話のネットワークの敷設には途方もない手間がかかることや、村と村の間の距離がかなりあること、そして連絡手段の不便だったことなどもあって、モバイルネットワークは長足の発展を見せました。

 また、移動距離の長さは物流と宅配、ECを発展させ、中国の物流業の中には、一人の宅配配達員が始めた企業でありながら、今では多くの専用車両と複数の専用機を持ち、すでに国際化を果たしている企業「順豊(SF)」もあります。

 日本でかなりの時間をかけて育ててきた業種は、中国ではたった10年で大きく育ちました。お金の力で、かもしれません。技術の多くは日本製かもしれません。しかし、都市に生活する限り、確実に便利さを感じるようになっています。

 日本でも知名度が上がりつつあるタオバオも含めて、アマゾンが得意としたロングテールモデルが、形を変えて全国の各領域で成長しているわけです。

 言うまでもなく、足りないところはたくさんあります。サービスもそうでしょうし、態度もそうでしょう。そして、信用度も育ちにくいという土壌は現実として存在します。しかし、そこだけを見て、この国を判断することはできません。いびつな環境ではあれ、日本では規制のせいで伸びにくい、もしくは想像すらできていない領域のビジネスが、雨後の筍のように、毎日のように生まれて、ミサイルのようなスピードで成長しているのです。「まずは荒削りに、そこから整備を」というスタイルが、こうした中国の発展を支えています。

 このパワーは、帰国するたびに感じる日本の委縮感とは逆のベクトルにあると感じています。最近日本に帰国すると、「中国でもできるのになんで?」「サービス先進国のはずの日本で、なんで中国より不便なの?」ということばかりです。負けてるなあ、と、しみじみ感じざるをえない今日この頃です。

 そして、こうした比較的自由な環境があるからこそ、ドローン大手DJIはたった10年で世界シェア70%を占めるまでに成長していますし、IoT環境も大都市では普及を始めており、若者の携帯電話には、家電をコントロールするアプリが入っていたりします。会食を終えて、何をしているのかな、と覗いたら、スマホで家のエアコンのスイッチを入れていたのには衝撃を受けたものです。

 ネットの力は、中国を変えています。スマホ片手に、どの辺まで生活が変わっているのか。そんなところから、この先も色々とお話をしていければと考えています。しばしお付き合いを賜りますようお願い申し上げる次第です。

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10月29日放送分
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