五輪後の北京、中高年の健康パフォーマンス大会が開催
9月28日、第11回北京市中高年健康パフォーマンス大会が市内の石景山体育館で行われました。主催元は、北京市老年体育協会。定年退職した中高年の健康促進を目的に、年一回開催されています。
今年の大会には、北京市18の区、県から64チーム、1200人余りが参加し、これまでの大会で最大規模のものとなりました。
大会は午前と午後に別れて、一日かけて行われました。参加者は、中国の各民族の舞踊や、太極拳などの中国武術、チアダンス、ファッションショー、「柔力球」や「可楽球」などの新たに創作された大衆スポーツなどを披露していました。どのチームも動きだけでなく、BGM、衣装やメイクなどにも気を配り、より良い演出のための工夫がされていました。
朝陽区高碑店郷半壁店村の威風鑼鼓チーム。
朝6時に集合して、大道具を積んだ後、貸し切りバスに乗ること1時間半、会場に到着したそうです。
村の総人口は6000人余り。このうち、60歳以上の人が1割以上を占めています。中高年福祉を重視し、重陽節(中国の敬老の日)になると、60歳以上の村民は無料の観光ツアーに招待されます。
この大会にはこれまで、何度も参加しましたが、いずれも太極拳などの伝統的な種目ででした。威風鑼鼓チームは去年結成したばかりのため、今回が初参加です。
「最初は、威風鑼鼓本場の陝西省から先生に来てもらいました。今は、自分たちで村の広場に週二回集まって練習しています。」
都市開発により、半壁店村は農業をやめ、観光業や商業がメインの村になりました。
「威勢よく威風鑼鼓をたたいて、もっと多くの人に村のことをアピールしたいです。」
"天天楽"柔力球チーム。写真のラケットに、ボールを載せたまま、様々な動きをするスポーツです。
メンバーは全員50歳以上の定年退職者です。毎日、楽しく過ごすことを目指して、命名しました。
隊長の馮さん(61歳)はSARS終息後に、公園でこの柔力球を練習している人を見かけ、興味を惹かれました。「太極拳の動きを彷彿とさせ、体操、バレーなど色々な動作も融合できる。また集中力も必要なので、脳のトレーニングにもなりそうだ」と思い、練習を始めました。その後、同じ団地の仲間数人とチームを作りました。
「5年間練習し続けると、体重が10キロ減りました。」
馮さんと隊員たちは、柔力球の醍醐味は、「球技を通して、友達を作り、体を鍛えて、何気ない日常を楽しくすることにある」と言い、大会参加の目的は、視野を広げたり、自分たちの練習の成果を皆に見てもらうことにあり、「優勝するかどうかは、全く気にしてはいない」と朗らかな笑顔を見せてくれました。
試合会場では、「桜花柔力球隊」の看板も発見しました。
「花見の名所、玉淵譚公園の"桜花園"と書かれた石の前にいつも集まって練習しているので、この名前をつけました。」
メンバーの史さんが柔力球のことを知ったのは、玉淵譚公園へ花見をしにいく時のことだったと言います。
今も毎朝9時から10時までの1時間は、無料で指導者が立ち会い、どなたでも習いに来ることができます。
史さんは週二回、地下鉄とバスに乗り継ぎ片道1時間かけて、練習に出かけています。「柔力球のおかげで、腰痛はすっかり治りました」、と続けてこられた理由を教えてくれました。
参加者にはそれぞれの物語がありますが、どの人も元気があり、若々しかったです。
試合終了後、審判員として来場した元体操選手、指導者、国際試合の審判でもあった孫孝貞さん(70歳)に聞いた言葉が忘れられません。
「私たちは誰だって、老いを避けることができません。しかし、努力すれば、体の機能を保たせ、老いるスピードを遅くすることができます。大事なのは、楽しい気分で毎日を送ること。老いていく中ではありますが、健康な心身を保つことなのです。」
中国の高齢者がスポーツに目覚めた背景に、中国人の平均寿命の伸びと社会の高齢化が考えられます。WHOが2007年に発表したデータによりますと、中国人の平均寿命は男性71歳、女性が74歳となっています。これにつれ、中国の高齢化のスピードも進んでおり、2005年まで、全国では60歳以上の人口が1億4400万に達しています。
一方、北京の人の平均余命は82歳で、中国全土でもっとも長寿の都市となりました。北京市には60歳以上の年配者は243.1万人で、総人口の14.9%を占めています。
また、先ごろ閉幕した北京五輪とパラリンピックも、大衆スポーツの普及とレベルアップに拍車をかけるのではと期待されています。
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