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石油が生んだエコロジー都市、盤錦
   2007-07-18 15:20:17    cri

盤錦に広がる水田地帯

説明を受ける取材団

    

 中国東北部、吉林省、黒龍江省、遼寧省の東北3省は、戦前の日本と関わりが深かった土地です。発展を続ける東北3省の中でも、遼寧省は、更に地域的な特性を活かして大きな発展を遂げようとしています。去年初めから、遼寧省の海岸線の5ヶ所を重点的に開発する『5点1線大型プロジェクト』が進められています。今回の遼寧省訪問は、その『5点1線』、錦州湾沿海経済区、盤錦を中心とする営口沿海産業基地、大連長興島臨海工業区、大連庄河花園口工業園区、丹東産業園区を訪ねる旅でした。

盤錦の開発地計画図

川岸を利用した計画地

 2日目に訪問したのは、錦州湾の奥の盤錦市を中心とした営口産業基地でした。盤錦の発展は、30数年前に発見された油田から始まりました。広大な田園地帯の稲作と海岸線の漁業で成り立っていた農漁村地帯は、石油の採掘とともに潤い、今では、1人あたりの可処分所得が遼寧省では大連に次いで2番目となるほどの豊かな地域となっています。錦州から盤錦に向かう途中、高速道路両側の風景は、秋の実りの豊かさを感じさせる広大な水田がどこまでも続いていました。盤錦は、環境に配慮するエコロジー都市宣言をした緑豊かな落ち着きのある町でした。盤錦の豊かさは、田園地帯で産出される石油と天然ガスがそれを保証しています。

盤錦の自動車部品工場

盤錦の開発地模型

 『5点1線開発プロジェクト』の一つに位置づけられている営口沿海産業基地の中心は、石油関連事業と、母なる川、遼河の河口一帯に建設される船舶産業からなっています。石油の採掘量を抑えながら、持続発展可能な産業の育成を目指して、大規模な船舶修造基地としての新しい工業区の建設を進め、石油化学、プラスチック、エチレンプロジェクト、石油掘削機械製造など、石油関連産業と造船業、自動車部品製造などの製造業を組み合わせ、大規模な発展を目指すものです。

石油掘削機械製造施設

機械は年間40基製造される

 この日訪ねた石油掘削機械製造施設は、中国の原油掘削の歴史と技術をもとに世界最先端の技術を持つと言われ、年間40基を製造し、アメリカ、アゼルバイジャン、パキスタンなどの産油国に輸出しているということです。盤錦の限りある石油資源から、関連する新たな産業の創出を図っていることがよく分かりました。

船舶修造区

現在1万6千トン級の2隻を建造

 次ぎに訪ねた海岸部の船舶修造区の造船所には、すでに6社が参入し、造船事業を開始しています。その中の最も大きな造船所は、最大5万トンの貨物船が建造できるということで、現在1万6千トン級の2隻を建造している最中でした。この造船所だけで、最終的に、年間20万から30万トンの船舶を建設する計画です。今造られている2隻は、いずれもシンガポールに輸出するということです。この造船所を含めた、遼河の河口の開発が完了すれば、一帯に人口20万の都市が出現する予定です。関係者は、ここに第2の盤錦市を作るのだと意気込んでいました。盤錦は、こうした工業地域とともに、世界的にも貴重な13万ヘクタールの広さの広大な湿原を併せ持っています。産業の開発とともに、丹頂鶴、黒嘴鴎などの動植物の宝庫とも言える湿原を守ることが、課題でもあります。2つの大きなテーマをともに両立させていくことが、盤錦をさらに魅力的な都市にすることになるのだと強く感じました。(文章:満尾 巧)

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