1 急性影響
・粘膜への付着による影響
受動喫煙による急性影響は、たばこの煙が目や鼻やのどの粘膜に付着して起こる症状と、口や鼻を通して肺に吸引された結果引き起こされる症状があります。
粘膜に付着して起こる症状としては、目のかゆみや痛み、涙目のほか、くしゃみやせき、頭痛といったものがあげられます。
生理学的にも呼吸の抑制、循環機能変化としての指先の血管収縮、心拍数の増加などが観察されます。
・刺激が強い副流煙
以上のような症状や反応は、主流煙よりも副流煙によるもののほうが強く現れます。これは、副流煙は刺激性ガスを多量に含み(アンモニアは73倍)、さらに一酸化炭素、ニコチン、発がん物質が高濃度に含まれているからです。そしてこれらの反応は、常習喫煙者よりも、たばこを吸わない人に強い反応が出ることも確かめられています。
2 慢性影響
・ヘビースモーカーの妻と子どもは肺がんの危険性が高い
「喫煙=肺がんの危険性」という図式はよく耳にします。たばこの煙には、ベンツピレンをはじめ数多くの発がん物質が含まれているからです。では、受動喫煙による肺がん、その他のがんへの影響はどの程度のものなのでしょうか。
女性既婚者の肺がん死亡例200人(非喫煙者)の夫の喫煙量との関係を見てみると、夫が非喫煙者である場合を1.0とすると、夫が1日20本以上のたばこを吸っている場合は1.91倍にもなっています。つまり、夫がヘビースモーカーであると、妻や子どもは受動喫煙により、あたかも自分が少量の喫煙をしたのと同程度の肺がんの危険性にさらされることになるという調査報告もあります。
これに対して、たばこを吸わない人の受動喫煙による吸引量の少なさからみて、肺がんその他の病気への危険性は存在しないとする研究者もいます。
しかし、多くの国々から、受動喫煙による肺がんの危険性の報告がされているのは事実です。
ですから、これらの報告を謙虚に受け止め、喫煙者の周囲の人への配慮はむろんのこと、非喫煙者もなるべく受動喫煙の危険にさらされないよう気をつけるにこしたことはありません。
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