「20年前、リトルスワンの発展はすべて輸入に頼っていました。しかし長年にわたって経験を積み重ねた結果、ここ数年、リトルスワンは革新の基盤を整えました。革新は口先だけのスローガンではなく、先輩の経験に基づいたものです」
リトルスワンでの毎日、柴さんは全社員と共に協力して、会社の持続的発展を図っています。現在、リトルスワンの洗濯機の市場シェアは10年連続して中国一となり、国内最大の洗濯機上場企業となっています。リトルスワンのブランド価値は76億3200万元に達し、中国の有名ブランドにランクされました。また、リトルスワングループの年間売上高は100億元を超え、中国企業ベスト100に入っています。これほど優れた業績に対し、柴さんは冷静な受け止め方をしています。
「企業は経済活動におけるただの細胞です。外部の社会と多くの接触を保ち、研究機構や、政府部門、経営者、消費者と共に生きています。ですから企業の革新や発展には、ほかの部門や社会からの協力が必要です」
柴さんが社長をしているリトルスワンが優れた業績を上げる一方、高級エンジニアや企業家としての柴さんも社会から高く評価されています。
江蘇省の優秀専門家、優秀留学帰国者、無錫市の十大傑出青年など、柴さんは数え切れないほどの称号や名誉ある肩書きを授けられました。こんな中で、柴さんは第10回全国人民代表大会の代表という肩書きを最も重視しています。
「これは政府と人民からの最高のご褒美であり、信頼でもありますから」と柴さんは全人代代表としての責任の大きさをひしひしと受け止めています。
「ここ数年、政府はいろいろな政策を打ち出して企業の革新を奨励しています。では、なぜ革新という事をこれほど重視するのでしょうか。その大きな理由の一つは、市場の公正な競争、知的所有権や研究成果に対する保護といった問題が完全には解決されていないからです。社会全体が学習型革新を奨励し、先進的な経験を学んだ上で、自ら革新の道を歩むことを奨励すべきです。一方、他人の研究成果を無断で盗んだり、そのまま真似したりすることは恥ずかしいことで、こうした行為は厳しく取り締まって処罰しなければならないと思います」
今、中国では、「企業の自主的革新」が重要視されています。中国企業はどうしたら世界進出を果たせるのでしょうか。外国からの進んだ経験を学ぶ一方、革新的な精神に則って、自らの道を歩まなければなりません。
中国の経済成長は急速なスピードを保ち、世界の注目を集めていますが、知的所有権の保護や、研究成果の保護、自主的な研究開発など、先進国との間にはまだまだ距離があります。西側諸国が100年以上かけて歩んだ工業発展の道、中国は改革開放以来まだ20年余りしか経っていません。問題点を解決していくには、まだまだ長い道のりがあり、時間がかかりそうです。立ち遅れていること、そのものを恐れる必要はありません。しかし、どこが立ち遅れているかという事をはっきり認識して改善していかなければなりません。
柴新建さんのサクセスの道、それは革新の道とも言えるでしょう。これから、もっと多くの中国の企業家が、この道に沿って中国企業の振興に自らの力を捧げて行くことになるでしょう。(担当:劉叡琳 取材:胡徳勝)
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