地図を見ていたら、「文学館路」と名づけられた道が、北京にありました。その中央に「中国現代文学館」があるので、早速ここを訪ねてみることにしました。
「そうですよ。わが博物館にちなんで道路の名前がつけられたんです。こういう例はあまりないでしょう」と自慢げに迎えてくれたのは、副館長の李栄勝さんです。この博物館は2000年にオープンしたばかりで、まさに中国の現代文学を知るにはうってつけの場所です。
文学館の必要性については、著名な作家・巴金が1980年代から提唱していました。85年には万寿寺の中に看板を掲げ、少しずつ準備が進められてきました。この願いがかない、文学館の正門前には左右8メートル、高さ2メートル、重さはなんと50トンもある石碑が置かれ、巴金自筆の文字が刻まれています。
「我々は文学の宝庫を持っている。それは中国の作家たちが後世に残した傑作である。それらの作品は我々を支え、育て、励ましてくれる。この世に生きている一人ひとりが、他人に対してもっと役に立つよう育ててくれる」といった意味です。
ここに保存されている資料は50万件以上です。作家の原稿、愛用品、読者からの手紙などもあり、書籍は30万冊あるそうです。見所は一階の「20世紀文学大家」の展示コーナーでしょう。魯迅、郭沫若、巴金、老舎ら7人の大作家の書斎がそっくり再現されています。愛用のペンやメガネが机の上に置かれ、執筆時の姿が忍ばれます。巴金の書斎には、香港の大学から受けた博士の学位証、着なれた洋服もありました。
三階に行くと400人の現代作家の足跡が紹介されています。五四運動の文学革命の時代から始まり、1949年の新中国の誕生まで、6つの時代を切りとっています。
日本の近代文学館も見学したことがあるという李栄勝副館長は、「改革開放の時代、みんなお金儲けに目を向けがちですが、こんな時こそ、文学は心のオアシスになるのです。オリンピックに向け、たくさんの外国の人も来てほしい」という言葉が耳に残りました。
住所:北京市朝陽区文学館路45号
電話:(010)84619071
ホームページ:www.wxg.org.cn
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