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(五)「恩師の献立」ー5
   2006-10-10 17:14:52    cri
 応接間にきた劉南垣(エン)は県令に李コウを紹介したので、県令は形を改め、自分は県令として李コウの泊まる官舎に出向いたが、そのとき李コウはすでに劉南垣の屋敷に赴いたと聞き、慌ててこちらに挨拶に参ったといい、自分の不届きを許してくれと長々という。

 こちら李コウ、空腹でたまらなかったところに、なんと県令が挨拶に来たというので、目が回るのを我慢して、県令の挨拶にどうにか応えた。こうしてまた半時が過ぎた。

 劉南垣は、李コウが腹を空かし、いらいらしているのを見て苦笑いしながらも、県令に目配せしてから言う。

 「ご苦労でございましたな。県令どの。そこもとも昼餉はまだでござろう。どうですかな。私たちとご一緒にすまされては?」

 「いえ、いえ、わたしめは遠慮いたしまする」

 「そうはいわずに、さ、どうぞ。ほれ、昼餉をここへ!」

 こうして劉南垣、李コウと県令は卓についた。そこへ昼餉が運ばれてきた。みると、野菜が浮かんだ豆腐汁、それに簡単な漬物、そして米のご飯だけ。これには李コウ驚いたが、恩師の前なので黙っている。すると劉南垣はさっそく箸を手にし、「わしは普段こんなものを口にしておりましてな。粗末なものだが、これでも民百省の食べているものよりはかなりましでござるぞ。二人とも我慢して口にされや」

 こういって劉南垣は早速食べ始めた。こちら李コウ、めちゃくちゃに腹を空かしていたので、これも箸を取り食べだした。

 「うむ?!これはおいしいですな。これはうまい」と李コウは瞬く間に一杯目のご飯を食べてしまったので、劉南垣はすぐに下のものにお代わりを出させたが、二杯目もすぐになくなった。そこで劉南垣は三杯目をつがせ、李コウはなんと三杯のご飯を、豆腐汁と漬物だけをおかずに平らげたのであった。

 やがて劉南垣がきく。「見回り役どの。味は如何だったかな?」

 これに李コウは顔を赤くしたあと、何かを悟ったのか頭を下げ、苦笑いして言い出す。

 「先生。空腹のときは何でもおいしく感じるものでございますね。今日はじめてそれを知りました」

昔話
v (六)「恩師の献立」ー6 2006-10-10 17:14:38
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