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(六)「二粒の丸薬」ー2
   2006-09-27 16:44:38    cri
 「まったくだ!しかし、あの男、どうもどこかが悪いようだな」

 「そうだな。横に杖があることから、足腰を悪くしているらしい」

 「どうだい。せっかくだ。わたしたちもいいことをして、あの男の病を治してやろうじゃないか」

 「そうだな。それがわたしたちの役目みたいなもんだからな」

 「うん、じゃあ、そうしようとするか」

 とこの二人の書生らしきものは、酒を飲んでいる陶俊のところに来た。

 「これはこれは、お一人でお楽しみかな」

 「うん?お前さんたちは誰じゃな?どうも知らん顔じゃが」

 「そんなことはどうでもいいでしょう。ところで、あんたどうも足腰が悪いようだね」

 「え?どうしてそれがわかるんだい?」

 「だって、横に杖があるよ」

 「お!そうか。これじゃあ仕方がない。あんたたちのいうとおり、わしはかつての戦で飛礫にやられて腰をいため、そのうちに足も悪くなってな」

 「医者にみてもらったのかね」

 「ああ。うちの主はいい人でね。金を出して医者を何人も呼んでくれたが、あいにく、治せる医者はいなかったよ。仕方ないよ。でも、近所の人々がよくしてくれるよ」

 「あんたは、弱いものの味方だっていうじゃないか」

 「ああ。なんてことはない。どうせ、この体だ。人に少しでも役立てばと思ってやってるだけさ。おかげでみんなと仲良くなれて、渡し場にいるが寂しくはないね」

 「これは見上げたもんだ。あんたいい人だね」

 「人をおだてないでくれよ」

昔話
v (七)「二粒の丸薬」ー3 2006-09-27 16:44:23
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