これは人に聞いたのですが、当時、朝廷は酒を全国的に禁じていました。しかし、桂林のある広西(カンシー)だけは違ったようですね、ですから多くの地方の飲兵衛が、それいけ!とばかり。広西に向かい、特に自然に恵まれた桂林にわいわいと集まったので、地元の酒造りの職人や商売人も「いまだ!」と腕を振って美味しい酒を競ってつくり、こうして美味しい酒が次から次へとうまれたそうです。そして、これら酒のいいところを集めてできたが桂林の三花酒だといわれています。この三花酒は透明で蜂蜜の香りを持ち、口当たりも柔らかいので、アルコール度56度もあるとは思えません。ですから、飲みすぎはいけませんね。翌日がたいへんですから。
また、桂林三花酒にまつわる伝説があります。
いまの桂林にある七星公園には、酒壷に似た石山があり、人々はこれを酒壷の山とよんでいる。遠い昔、この石山からは酒がでたといい、誰かの家に客が来たり、正月になったりすると、みなこの酒壷山に来てそこに植えてあるモクセイの木の小さな枝を折り、酒壷を軽く撫でればその口から酒が出てきた。その酒はとても美味くいつも一回しか出ないが、それで足りたという。ところがある欲張りな役人が、一回では少ないというので、多くの手下を遣って、酒壷の口のところを鑿などで大きくしたため、それからは酒が出なくなった。ところが、この役人は大の酒好きだったため、御触れをだした。
「この桂林の町の酒職人よ!一ヶ月以内にかの酒壷山から出る酒と同じようにうまい酒をつくりだせ!さもなくば処刑にいたす!」とね。ひでえや!
慌てたのはこの町の酒職人たち、この御触れを知って経験長い老いた職人の所に集まり、教えを仰いだが、この老いた職人はタバコふかして考え込んでいるだけ。
「どうしたものかのう?あのように美味い酒を作るには、素晴らしい麹がなくてはならん。が、どこにあるのじゃ?」
この老いた職人は焦りのためとうとう体を壊したので、その娘の三花は、近くの川で捕れた鯉を料理し、主食と一緒に父である老いた職人に食べさせようとしたが、老いた職人は首を横に振り食べないという。
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