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「笹川杯作文コンクール2008」優秀賞作品ーー「お隣さんは、日本人」
   2008-11-15 12:50:40    cri

「お隣さんは、日本人」

新疆ウイグル自治区ウルムチ市  胡芳

 2006年、我が家は新居に転居しました。新居に引っ越し、高層マンションに入居しましたが、ご近所さんとはエレベータで会釈するだけでした。週末のあるお昼時、玄関のベルが鳴りました。誰だろうと不思議に思っていると、戸口には女性が一人で立っていました。「はじめまして、どうぞよろしく!」彼女は優しく上品にそう言うと、麺料理を差し出し「召し上がってください。」と続けました。私は扉を閉めると、ぽかんとしてしまいました。私が手にしたのは、「日本料理店」で食べたことのある「うどん」でした。「私の隣に住んでいるのは日本人?」 そういえば、彼女は、「英子」と自己紹介していました。日本人のお隣さんができたのです!

 夏の盛りで、麺のいい香りに、それまでの私の思考は停止してしましました。うどんのお出しは透き通っており、お碗の底まで見えました。麺は丸々としていて噛むと強いコシがあり、とても良い口当たりでした。我が家の一家三人で遠慮なく平らげてしまいました。

 「来てくれたのに、行かないのも失礼かな。」次の日にお碗を返す時、我が家の故郷である新疆の郷土料理、新疆拌麺を贈りました。一回目に「美食」の交流があり、それから、私と日本人のお隣さん?英子さんとの付き合いが始まったのです。

 英子さんのご主人は王さんと言って、我がウルムチ人です。90年代の終わりに日本での医学研修に参加しており、英子さんはその時の指導教官の娘さんなのだそうです。この話を聞いて、テレビドラマを連想してしまいました。彼らは結婚し、王さんは日本人の奥さん?英子さんを連れて帰国したのです。

 私はフリーライターなので在宅時間が長く、英子さんも専業主婦なので、お付き合いする時間には余裕があります。「どうやってコミュニケーションを?」と、初めは主人が驚きました。ご主人の王さんによると、英子さんはあまり中国語ができないようですし、私も日本語がまるで分からないのです。しかし、私たちの交流に言葉はほとんど障害となりませんでした。私は手振りで話し、英子さんは少しの漢字を紙に書いて見せたのです。でも、実際は「絵」の方が多かった気がします。それでも、私たちは一緒に「話す」ことができたのです。

 英子さんは旅行が好きだそうで、お宅には日本各地を旅行した彼女の写真がたくさんありました。彼女が三浦半島で撮った海の景色は、憧れるものでした。北海道では、日本列島の先住民族「アイヌ」の人との集合写真もありました。日本の東北地方で温泉に浸っている時の英子さんの満足げな顔といったら、厳しい冬に「温泉に浸かる」ことが人生でも大きな喜びなのだろうと感じさせます。彼女の写真には日本の湿原を代表する尾瀬もあり、その独特な美しさは感嘆すべきものです。かの有名な富士山も高くそびえ立ち……英子さんと王さんが「松島、天橋立、宮島」の「日本三景」を旅したことが、羨ましくて堪りませんでした。

 美しい日本の風景は、私と英子さんとのコミュニケーションを橋渡ししてくれました。かつて本や資料で目にしたのは「過去」の日本、英子さんを通じて私は今日の日本を知ることが出来たのです。

 私と英子さんはいつもご主人の出勤後に街へ出て、買い物をします。私は新疆の料理を教え、彼女は日本のごちそうを教えてくれます。

 私は北方の人間なので麺類がとても好きです。英子さんは日本の「ラーメン」の作り方を教えてくれました。ご主人の王さんによると、ラーメンは日本のどんな街でも見かける軽食で、日本の「国民食」と言われており、ラーメン屋に「長蛇の列」ができることもよくあるそうです。日本のラーメン屋はどこも狭く、普通は20人ぐらいしか店に入れないのですが、冬の寒い日でも多くの人が店外に列を作り、ラーメンにありつくのを待っているのだそうです。王さんが最もよく覚えているのは、北海道の零下13度という晩に外で待っていたことだそうです。

 お店から蕎麦粉を買ってきて、日本風の冷たい蕎麦を教えてもらおうと思ったこともありました。私は英子さんの作り方を見ながら普通の麺と同じように麺をこね、延ばし、切り、茹でたのですが、最後の段階で彼女は茹で上がった蕎麦を冷水に放ちました。竹の特別な器に盛ってもみ海苔をかけ、更にねぎと唐辛子を少し足した醤油を添え、薫り高き蕎麦が食卓に上りました。英子さんの冷たい蕎麦は爽やかで、何度食べても飽きません。私の娘の誕生日には、本場の日本料理を作ってあげようと申し出てくれました。娘が一番気に入ったのは英子さんの造った「刺身」です。英子さんは包丁づかいが見事なだけでなく、美しい盛りつけでも驚かせてくれました。人参、海苔とねぎを刺身に添えて、視覚でも味覚でも「美」を味わわせてくれたのです。8歳の娘は無邪気に「英子おばさん、日本料理店ができるよ!」と言っていました。

 ご主人は、私と英子さんの「友好的な往来」に驚いたようですが、からかい半分に「中日友好大使にも申請できるよ」とのことです。私は日本人のお隣さんが好きです。

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v 「笹川杯作文コンクール2008」優秀賞作品ー「友情の種を蒔き、共に青春を」 2008-11-04 15:35:10
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