JDSというのは無償資金援助育成奨学計画で、日本政府の援助の下、中国の行政官の日本留学を助成するものです。この計画は2002年から実施し始めたもので、これまで、264人を派遣しました。そのうち、160人あまりが帰国して、その後の人はまだ日本で勉強しているということです。計画について、中国駐在日本大使館の香川剛広公使は「日本と中国の友好関係、相互理解を進めるためには、できるだけ数多くの政府職員がお互いの制度、仕事の仕方を理解しなくてはならないし、お互いの文化、お互いのことをよく理解することをまず最初にあるわけで、できるだけ多く中国の政府の人に日本を知ってもらうためにこのプログラムを設けた」と紹介しています。
このプロジェクトの留学を申し込むには、まず、大卒で22歳以上40歳未満、行政官として3年以上の実務経験があることが求められます。それから、語学試験や面接を含めて、四回の選考に合格して資格が得られるのです。より多くの日本語のわからない行政官を日本を知ってもらうために、このプロジェクトでは日本語と英語のコースが設置してあります。留学期間は2年間、法律や公共政策、経済、経営、国際関係の5つを留学分野にしてあります。
あまり日本の事情がわからない若手行政官達も、日本で二年間暮らし、勉強してから、どんな体験が出来たのか、第四期のJDSの帰国留学生に話を聞きました。外務省アジア局二等書記官の劉震さんは「日本に行く前は、中国と日本は似たところが多いのじゃないかと思っていた。しかし、二年間日本で暮らして感じたのは、中日間は違っていることの方が多いのではないかということ。日本人は勤勉で、まじめ、きちっとルールに沿って仕事をする。これは、日本に世界一のサービスと世界で最もきれいな環境がある理由の一つではないだろうか。一方、日本人は特に外国人と付き合うとき、自分の本当の考えをなかなか言わないようだ。何か不満があっても、心の中に抑え込む傾向がある」と日本人や日本社会について、率直に自分の考えを話した上、さらに、中日関係について、「これまで、中日問題について、表面的なことしか分からなかった。日本に行って考えが変わった。中日関係は世界で最も複雑な二国間関係の一つになるかもしれないが、それぞれの首脳の政治的な知恵で解決すべきだと思う」と外交官なりの意見を出しました。
これら留学生は日本に行く前にそれぞれの職場で担当分野があって、自然に日本のその分野のことに注目するようになりました。また、この二年間の暮らしの中で、自分の研究課題だけではなく、日本社会も見て、日本や日本人への理解も深めました。
チベット自治区ラサ市教育庁の格桑多吉さんは「ラサで日本人と接したことがあるが、日本社会については知らなかった。一言で言えば、日本は東西の経済や文化をうまく融合した国あるいは社会ではないかと思う」と日本社会のよさを認める一方、チベット自治区の将来に付いても考えました。「今回の留学で考えたのは、これまで、国はチベットの経済発展や社会の安定に力を入れてたが、今後は、経済、社会のほかに、教育をより重視するようになれば、よりうまく発展していくのではないかということだ」。
また、新疆対外経済貿易庁対外経済貿易処 白宇峰さんは二回目の長期滞在で心の準備があったものの、今回はさらに意味深いことを考えました。
「これまで、いつも、相手は自分を理解しない、自分が尊重するものを尊重しないとよく愚痴をこぼした。今は相手に指摘することを止めて、なぜ相手にこのように思わせたのかを反省するようになった。指摘することは何も役に立たない。このような認識を正すには自分ができることは何かを考えるべきだ。これはこの二年間、色々な人と接してから考えたことだ」と言っています。
このように留学生達は日本で方法論や情報を得られたほかに、日本社会も理解でき、さらに、自分を見つめることもできたわけです。プロジェクトの意義について、留学対象の募集や選考などを担当する商務省国際経済貿易関係局の張克寧商務参事官は「この留学コースは二年の修士課程で、公務員にとって、ありがたいチャンスとなる。また、日本社会で二年間暮らして、今後の中日関係の発展にそれなりの貢献ができると思う。より多くの中国の公務員が日本に対する理解を深めれば、今後の中日関係に積極的な役割を果たすに違いない。両国政府はこのプロジェクトを重視しているので、この留学生派遣のプロジェクトは続いていくだろう」と述べています。
(整理:東)
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