|
ピンクの廊下 | 4月15日、甲府に来てからの3日目。
ビビー!ビビー!……、6時20分に時計の音に起こされました。今日は、UTY(テレビ山梨)制作部部長、松土さんに案内していただき、花見に行く予定です。
今年は暖冬のせいか、日本の桜は例年より早く咲きました。甲府市内はもう葉桜でしたから、「本当にサクラが見られるのだろうか」と心配しながら、出発しました。
目的地は、甲府市から25キロほど離れた北杜市武川町の実相寺です。実相寺は南アルプスの麓にあり、日本の"三大桜"の一つとされる「神代桜(じんだいざくら)」で日本全国に知られています。ヤマトタケルノミコトが東夷征定のおりにこの地に留まり、記念にこの桜を植えたのだそうです。日本の天然記念物とされている神代桜は、樹齢2000年以上といわれ、その大きさは高さ13.6m、根の幹周りが13.5m、枝は東西27.0m、南北30.6mに張り出しています。長寿と病気のせいで、衰弱しており、2001年には調査を行いました。
そして、2002年からの工事では弱った根に活力を取り戻すため養分に富んだ土を入れ替え、栄養たっぷりの土壌に切り替えるなどの措置を行いました。それによって、樹木もだんだん元気を取り戻してきました。でも、残念ながら、ここはすでに桜の見ごろが過ぎていて、満開の神代桜を見ることはできませんでした。
でも、その代わりに、実相寺の庭園に植えられた数万本の水仙とチューリップがちょうど見ごろを迎えており、非常に美しかったです。もうあと一週間早く来ていれば、ピンクの桜と黄色の水仙、そして赤色のチューリップを一緒に見られたのですが・・・。
|
|
神代桜(じんだいざくら) |
実相寺の水仙とチューリップ |
さて、私たちは満開の桜を探すため、さらに山の奥に向かいました。「奥には、桜並木の名所がある。そこは、まだ気温が低く、開花も遅いはずだ」という松土さんの言葉を信じて、山すそをどんどん登っていきました。ボツボツと桜の姿が見えたのですが、ほとんどが散ってしまっています。しかし、車がある急カーブを曲がった瞬間、私は息を飲みました。そしてあまりの興奮で、「すごい!」と思わず叫んでしまったのです。幅6mぐらいの道の両側に、桜の木がずらりと並ぶ風景が目に入ってきたのです。急いで、車を飛び出し、そこに向かいました。周りは、畑や雑草、名前の知らない花がいっぱい、まるで桃源郷です。あちこちに木造の別荘が建っていますが、景色にフィットしていて、ぜんぜん違和感はありません。桜はまさに満開で、それぞれの木々は、まるで「ピンクの雲」がかかっているようです。坂道になっているから、下から上のほうを見るとピンクのアーチ型のようになっています。中国でも、満開の桜を見たことがありますが、これほど美しい桜並木を見るのは初めてです。汚れのない純粋なピンクの花は、太陽の光にあたり、そよ風の中で踊り、可愛くて、まるで微笑む赤ちゃんの顔みたいでした。このピンクの廊下を歩いているうちに、高ぶった気持ちが少しずつ落ち着いてきました。そよ風が吹いて花びらが舞い散り、心の湖面に触れて、そっと美しいさざなみが起きたような・・・そんな瞬間でした。時間、空間、心の動き、全てが止まってしまったような感じさえ覚えます。桜の木の下で写真を撮ってもらったのですが、美しい風景の中で、僕の姿が何だか邪魔者に感じました。
1 2
|