鶏血石を見に昌化玉山へ行きました。現物を見たのは初めてです。 鶏血石は名前のとおり鶏の血のような色をしています。この赤い色の成分は水銀で、日に当たると色が変わってしまうそうです。田中角栄が訪中したときに、周恩来からこの石で作った判子をプレゼントされ . たことで有名です。
玉山で鶏血石を加工し販売している 邵誠鑫さんを訪ねました。 邵さんは、美術石の本にも取り上げられるほどの優れた技を持つ工芸師です。彼は原石を見て、その色・形・模様の特徴を最大限生かすよう作品をイメージし彫っていきます。今杭州市で開催されている世界レジャー博覧会にも、彼の作品が展示されているそうです。
彼は書籍を取り出してきて、鶏血石や玉山の状況について詳しく話をしてくれました。 昌化玉山の歴史は古く、 1000年前から石の採掘・加工が行われてきたそうです。鶏血石は玉山の代表的な石で、清王朝の時代には一番身分の高い官吏の帽子を飾る石として使われました。石の種類で位が判断されていたのです。玉山では、ほとんどの人が石の採掘や加工・販売に関わっていて、人々の生活は結構良いようです。ここ 10 年来、中国の好景気により玉山石の工芸品が収集や高価なプレゼントの対象になり、需要が高まっているからです。
しかし、玉山は今大きな不安を抱えています。まず、ここの石は後 10 年で掘り尽くしてしまうそうです。今も、毎日 1000 人近い人が山に入って採掘をしています。裾野が 50 キロに及ぶ山が一面穴だらけになっています。それだけではありません。 邵 さんは、北京オリンピックが行われる 2008 年までは大丈夫だろうが、その後はこんなに山を破壊すると、採掘が一切禁止される恐れがあると心配しています。村人の中には、すでに他の地域に移り住むことを考えている人もいるようです。
邵 さんも、今が正念場と考えています。最近、愛着のあった自分の作品 29 点を、 60 万元で手放しました。理由は、石が全く採れなくなるかも知れないので、今のうちに原石を買い溜めして置きたいからです。しかし、これくらいの金額では、原石でも高価な玉山の石をたくさん買い集めることはできません。そこで彼は、原石購入に投資してくれる人を探しています。石が採れなくなれば、それを加工して売ると何十倍もの利益が見込まれるので、効率の良い確実な投資のはずだと言っています。
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