15日、アメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が破産法の適用を申請した情報が広がり、ヨーロッパの金融市場も大きなショックを受け、欧州中央銀行は市場を救済するための緊急資金注入を行いました。しかし、経済界の専門家は「これがヨーロッパの一般投資家にもたらす影響は限定的だ」と見ています。
ドイツのフランクフルト証券取引所で15日は、「ブラック・デー」と呼ばれています。この日、フランクフルト市場の株価指数(DAX)は一時6000以下まで急落し、終値は6000ぎりぎりまで盛り返しましたが、結局170ポイント下がりました。翌日のDAX指数はさらに1.63%下がり、5965.17で取引を終え、2006年11月以来の最安値となりました。銀行・保険株が急落したのは、リーマン・ブラザーズの破たんによる「ドミノ効果」への懸念が原因と見られています。
市場の流動性を促し、リーマン・ブラザーズ破たんによる金融市場の危機悪化を防ぐため欧州銀行は15日、ユーロ圏の金融市場に300億ユーロ(およそ4兆4000億円)、続く16日に700億ユーロ(およそ10兆4000億円)の資金を供給しました。
ドイツ金融監督管理委員会はリーマン・ブラザーズのドイツの子会社を閉鎖したほか、ドイツフランクフルト銀行連合会も資産収縮の懸念から、営業を一時停止しました。フランクフルト商業銀行のクレイマー首席エコノミストは「街を行く一般の人々もこの危機を間接的に感じている。ドイツの去年の経済状況は良かったが、しかし重要な貿易パートナーの経済が不振であるため、ドイツの経済成長も低迷し、就業市場にも影響が出るだろう。この意味から考えれば、今回の危機が一般の人々にもたらす影響は間接的なものだ」と分析しています。
一方、一部の専門家は、今回の危機は消費者の銀行に対する信用に影響を及ぼすと見ています。ドイツ証券取引銀行の取引官シャーフフェッターさんは「過去数カ月の間、人々は実態を把握したり、ドイツ特にアメリカの銀行の安全性を把握しようと試みていた。今回の危機は、多かれ少なかれ人々の銀行に対する信用に影響を及ぼすだろう」と話しています。
ドイツの政界と経済界は、リーマン・ブラザーズの破たんによる世界の金融不安がドイツにもたらす影響は限定的だと考えています。ドイツ中央銀行のウェバー総裁は「現在のところ、ドイツの銀行と顧客との間や金融市場に不安は見られない。緊迫した状況も今後数週間か数カ月間のうちに緩和されるだろう」と見ています。また、ドイツのシュタインブリュック財務相は「ドイツの銀行システムはアメリカよりしっかりしている」と強調しています。
このほか、ドイツのバーバリア金融センターのゲルケ総裁は「私は、今回の危機は実体経済に現れてくると話したことがある。今後少なくとも1年間は、こうした危機の影響が続くだろうが、全てが好転してくるだろう。金融・経済システムで再び再編が行われ、より強くて新しい銀行が現れる一方で、投資銀行の分野での競争が減り、状況は好転するだろう」と述べています。
(翻訳:洋)
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