EUの執行機関である欧州委員会は23日、温暖化対応と再生可能な燃料の使用を促進する包括法案を加盟国と欧州議会に提出しました。
これは去年3月のEU首脳会議で合意した基本方針の実施規則案として大きな関心を呼んでいます。
法案によりますと、2020年までに、域内の温室効果ガス排出量を1999年と比べて20%削減し、再生可能エネルギーの使用率をエネルギー消費量全体の20%まで引き上げるということです。また、輸送分野のバイオ燃料使用率も10%まで向上させます。
法案はまた、排出削減目標の実現に向け、加盟国の経済力と技術力を勘案し、2013年に期限切れとなった京都議定書に続いた新しい文書が合意されれば、域内の排出削減目標を30%高めるとしています。
法案は温室効果ガスの排出権を売買するEUの排出権取引制度(ETS)を拡充し、およそすべての排出ガス企業を対象とし、加盟国の排出制限を年々縮小していくとしています。2020年には2005年に比べ21%の減少。また、航空、建築、サービス、農業、廃棄物処理など排出取引制度に参加していない分野は10%減少するとの目標を設定しています。
また、法案は今後12年間で、エネルギー消費量の全体に占める再生可能エネルギーの割合を現在の8.5%から11.5%まで高めることを求めています。
法案はさらに、2013年からエネルギー生産企業の排出枠を競売し、排出取引制度に参加していない航空、建築、サービス、農業などの分野においても排出枠の競売を普及させていくとしています。その収入は加盟国の環境保全プロジェクト、エネルギーの新技術開発および途上国への温暖化対応支援に利用され、二酸化炭素の貯蔵などにおける法的な枠を設けるなど、大きな目標を定めています。
これをめぐり、欧州委員会のバローゾ委員長は「温暖化対策は現在、各国指導者の根本的な政治的テストである。欧州連合は正しい政策枠を定め、環境に優しい経済社会へ転換し、世界の温暖化対応において主導的な役割を果たしていく」と述べました。
法案はEU加盟国と欧州議会の批准が必要で、これまでの状況をみれば、法案の成立にはまだまだ困難が多いと見込まれています。
|