景気後退とインフレ率の上昇に対応し、欧州中央銀行とイギリスの中央銀行イングランド銀行は7日、政策金利の据え置きを決定しました。
エコノミストは「ユーロ圏経済のスタグフレーションの状況は、今後数カ月以上継続するものと見られ、欧州中央銀行は金利を変動させないだろう」と見ています。
インフレ率の継続的な上昇を受け、欧州中央銀行は7月3日、ユーロ圏の主要政策金利を4%から4.25%に引き上げました。
しかし、その1カ月後、インフレ率は4.1%に達し、16年ぶりの上昇率となっています。
これによって、ユーロ圏経済は経済活動が停滞しているにもかかわらず、インフレが進むスタグフレーションの状況に直面しており、金利引き上げを通じてインフレを抑制することは困難になっています。
また、ユーロ圏に入っていないイングランド銀行も4カ月連続して政策金利を5%に据え置いています。
エコノミストは「現行の政策金利が12月末まで維持されるだろう」と予測しています。
統計によれば、イギリス経済は景気後退が進む中、6月のインフレ率は3.8%に達し、1997年以来、最高となっています。
国際通貨基金は「イギリスのインフレ率は5%に高まるだろう」と予測していますが、一方、イングランド銀行のキング総裁は7月、「インフレ率は来年、3%以内に抑えられるだろう」と見ています。
一方、欧州中央銀行のトリシェ総裁は「当面の経済情勢を見れば、ユーロ圏のインフレ率は抑制目標の2%を大幅に上回っている現状が続いていくだろう」と語りました。
エコノミストは「アメリカに次ぐ世界第2位の規模をもつユーロ圏経済は景気後退が拡大しており、世界の経済情勢を複雑化させている。ユーロ高、燃料の高騰、世界経済成長の鈍化、サブプライムローン問題による金融危機などによって欧米市場への信頼感が低下し、ドイツの輸出も影響を受けている。また、6月以来、欧州の株式市場も続落している。これらの懸念材料によってEU経済の成長は鈍化が続いていくだろう」と見ています。
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