フィリピン政府が22日、明らかにしたところによりますと、強い台風6号による豪雨で洪水が発生し、これまでに少なくとも229人が死亡、700人あまりが行方不明となり、およそ37万人が被災しています。犠牲者の数はさらに増える恐れがあるということです。
台風6号は20日夜、フィリピン東部のサマール島に上陸して西に向かい、中部の10あまりの州と首都マニラを襲いました。フィリピン赤十字社のリチャード・ゴードン会長によりますと、最も被害を受けているのは中部のイロイロ州で、死者の数は少なくとも101人に上っているということです。現地では、洪水により多くの家屋が水に浸かり、住民数万人が屋根の上に避難しているほか、地滑りや洪水の被害を避けるため、およそ3万5000世帯が緊急避難しています。しかし、電力・通信設備が破壊されたため、救助活動が難航しているということです。また、首都マニラとその周辺では、犠牲者の報告はありませんが、停電や飛行機の欠航が発生しています。
このほか、台風が通過したフィリピン中部の海域では、700人余りを乗せたフェリーが沈没しました。これまでに32人が救助されましたが、残りは行方不明となっています。
このフェリーは「プリンセス・オブ・スターズ」で、乗客626人、乗員121人が乗っていました。20日にマニラを出航してフィリピン中部のセブ島に向かう途中、ロンブロン州付近の海域で台風に遭い、エンジンが故障して停止したところ、高波を受けて沈没したということです。
救助された4人の生存者によりますと、フェリーは急に激しく揺れて、避難の準備ができないうちに沈没したということです。また、悪天候で連絡が取りにくかったため、地元当局が救援要請の信号を受けたのは、フェリーが転覆してから10時間ほど経ったあとでした。現在、フィリピンの沿岸警備隊の船が現場入りしていますが、天候の影響で救助活動は難航しています。
これを受けてフィリピンのアロヨ大統領は22日、このフェリーが台風の発生を承知していながら出航した理由を調べるよう求めました。またノリ・デ・カストロ副大統領は、この事故が政府幹部の怠慢によるものだと判明すれば厳しく処罰すると述べました。(翻訳:鵬)
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