世界銀行が9日発表した「2008年世界経済展望」によりますと、アメリカなど先進国の経済減速の影響を受け、世界経済の成長は減速する見込みです。一方、発展途上国の経済成長は強い勢いを保っているため、先進国の不景気によってもたらされた衝撃をある程度緩和したということです。
報告は、「アメリカ経済の不景気とサブプライム危機は、その他の先進国ひいては世界経済全体にマイナスの影響を与えたため、世界経済の成長は減速する見込みだ。去年の世界経済成長率が3.6%になる見込みであるのに対して、今年は3.3%になる見込みだ」としています。
こ こ数年、アメリカ経済は伸び悩みを見せています。2006年の経済成長率は2.9%でしたが、去年は2.2%まで下がり、今年の予測は1.9%にとどまっています。サブプライム危機の悪影響が実体経済に波及しつつあり、金融市場も依然として混乱しています。アメリカ政府が相次いで発表した住宅、製造業および就業のデータによりますと、今回の危機を受け、もし妥当に処理できない場合、アメリカ経済が成長の原動力を失う恐れがあるということです。
アメリカ経済の不景気と金融市場の混乱はその他の先進国にも影響を与えました。報告は「日本の去年と今年の経済成長率はそれぞれ2.0%と1.8%、ユーロ圏は2.7%と2.1%で、共に2006年のレベルを下回る見込みだ」と予測しています。
報告はまた、「発展途上国の経済成長率は去年は7.4%、今年は7.1%になる」としています。国連がこのごろ発表した「2008年の世界経済状況と見通し」も、「今年世界経済が停滞するリスクが高まっているが、発展途上国の経済は引き続き早いスピードで成長していく」と予測しています。
発展途上国のうち、中国とインドは特に注目されています。報告によりますと、中国の去年と今年の経済成長率は、それぞれ11.3%と10.8%、インドは9.0%と8.4%になる見込みで、来年も引き続き高い成長率を保つということです。
専門家は、「もしすべての発展途上国の経済力をトータルで計算すると、アメリカとほぼ同じだ。しかし、発展途上国の経済成長率はアメリカの3倍以上となっている。発展途上国の経済成長の強い勢いは先進国の不景気によってもたらされた衝撃をある程度緩和した」と見ています。
報告はさらに、世界経済が今年直面している課題を三つ提出しました。まず、アメリカ経済の減速により、発展途上国の輸出が下がり、これらの国の経済発展に影響を及ぼすことが挙げられます。世界銀行は、「アメリカのサブプライム危機によって発生した世界金融市場の混乱は、まだコントロール可能なものである。アメリカ経済は来年リバウンドし、成長率は2.3%になるだろう。また、世界経済の成長率も3.9%になる見込みだ」と見ています。
次に、ドル下落が、世界経済にとって脅威となり、世界貿易と金融市場の安定に衝撃を与え、輸出と投資の増加幅を減速させること、第三に、原油価格の高騰が世界経済にもたらす影響が大きくなっていることがあります。先週のニューヨークの原油先物市場で、原油価格が初めて1バレル100ドルを突破しました。しかし、報告は、「高い価格は、需要を減らす。今年から来年にかけて、原油価格は徐々に下落するだろう。今年の平均価格は1バレル84ドル、来年は6.8%下がり、1バレル78ドルになる見込みだ」としています。
そのほか、一部の経済学者は、発展途上国の経済の過熱を指摘しています。経済学者らは、「アメリカ経済の減速によって、利率の下方調整が行われ、すでに経済が過熱している発展途上国はより厳しい局面に向かう。アメリカ経済の減速によって、世界資本はアメリカから発展途上国に流入し、新しいバブルを作り、あるいはもとのバブルをさらに膨らませる」と見ています。
専門家は最後に、「発展途上国の経済が健全かつ安定的に発展することは、世界経済の成長にますます大きな役割を果たしている」と指摘しました。
|