トルコとイランは20日、アンカラで電力に関する協力協定を締結しました。この両国がエネルギー分野で協定を結んだのは、今年7月以来2度目となります。アメリカがイランに対し新たな制裁措置を発動しようとするにもかかわらず、トルコとイランがエネルギー協力を拡大しているのは、お互いに必要とし合っているためだと見られます。
今回の協定では、トルコとイランが合同で出資して、イランで発電量が2兆キロワットの火力発電所を2箇所、設備容量10兆キロワットの水力発電所を数箇所建て、またトルコで発電量2兆キロワットの火力発電所を1箇所建設することになります。協定の調印式に出席したイランのファッターフ・エネルギー相は、「この協定は、一部の国から不快感を招く可能性があるが、イランとトルコは自主独立の国で、共栄の原則に基づいてこれを締結したものである」と強調しました。
トルコとイランは、アメリカの反対にもかかわらず、エネルギー協力を拡大しているのは、経済と政治面の2つの理由があると見られています。
まず、経済面から見てみますと、トルコは資源が乏しく、石油や天然ガスなど主な資源の90%以上を輸入に頼っています。したがって、隣の国とエネルギー協力を行う必要があります。その隣国、イランは、石油と天然ガスの埋蔵量が世界の上位を占める資源大国で、またイラクも資源が豊富な国となっています。しかし、イラクの治安情勢などが不安定であるため、トルコはイランと協力するのが現実的だとされています。その一方、イランにとって、トルコと協力することによって、国際社会から与えられている経済制裁で起きた損失を補うことができます。こういった相互の補完関係により、トルコとイランは経済協力を展開し、今年末までに2国間の貿易額は100億ドルに達すると見込まれています。
また、政治面からみれば、トルコは、西側で影響力があり、アメリカと伝統的な関係を持つ国となっています。したがってイランは、国際社会から受けている圧力を軽減するため、トルコと関係を密接にしようとしていると考えられます。
同時にトルコも、イランとエネルギー協力を展開することに3つの利点があるといわれています。1つ目の利点は、トルコが「国際エネルギー回廊」を構築することのほか、国内の資源の安全強化や政治的地位の向上に有利なことです。2つ目は、イランと協力することで、アメリカとの、クルド人問題に関する交渉の材料を増やすことができます。3つ目は、イランの力を借りて、中央アジア諸国との政治関係を強化することにプラスとなります。
しかし、アメリカは、イラン核問題に影響を与えるとして、トルコとイランの協力に反対しています。アメリカのトルコ駐在ロス・ウィルソン大使はトルコに対し、イランとの天然ガスの開発協力を放棄すれば、アメリカ政府は、トルコがイラクと中央アジアの資源を開発することを全力で支援すると約束しました。
したがって、トルコとイランのエネルギー協力が、将来どうなっていくのか、予想するのは難しい状況です。(翻訳:鵬)
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