武漢科技大学文法・経済学院の董登新教授が、人民元上昇の得失について次の論考を寄せた。
2006年下半期以来、人民元の持続的上昇に対し、学術界から現実の生活に至るさまざまな場面で、両極端とも言える2つの見方が現れている。「繁栄論」と「悲観論」だ。繁栄論は、人民元上昇の利得を過大評価するもので、人民元上昇は中国の国力の繁栄、増大の現れであり、人民元の世界進出の前奏曲であると強調する。悲観論は、中国のような発展の遅れた人口大国にとって、人民元上昇は見せかけの繁栄であり、バブルであり、利益より弊害が大きいとするものだ
実際には、こうした両極端の見方はいずれも一面的だ。人民元上昇に対し、われわれはその利害得失を両面的に、理性的にみなければならない。100%肯定するのでなければ100%否定するというような極端な見方に走ってはいけない。
客観的にみれば、人民元上昇は中国の特殊な現実と外来の要因との作用によりもたらされた結果だ。この点を明確にすれば、人民元上昇の利害得失を考える上で大いに役に立つ。
実質的にいって、人民元上昇は明らかに改革開放の成果であり、経済力の不断の上昇の結果だ。改革開放スタートからの約20年間で、中国経済は徐々に世界に進出し、国際競争に全面的に参入するようになった。貿易黒字が年々増加し、外貨獲得が難しいことではなくなるとともに、海外からの直接投資の実行ベース導入額が高水準で伸び続け、導入外資の量だけを追求する時代は終わった。このため継続的かつ巨額の貿易黒字と大規模な外資導入により、外貨準備が増加を続け、外貨の供給は不足しないどころか、すでに供給過剰気味となっている。人民元上昇は、中国の外国為替市場における需給関係が絶えず変化していることの結果だといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」より
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