新疆ウイグル自治区の天山山脈に自生する高山植物・セツレンカは、7月から8月にかけて花を咲かせる。しかし、セツレンカは漢方薬の材料として使われることから、不法な採集が後を絶たず、海抜3千メートル以上の雪線付近でも、多数の不法採集者が出没する。野生のセツレンカは種子で増えるが、不法採集者はセツレンカが花や種をつける前に根こそぎ引き抜いてしまうため、生息数は急減する一方だ。ある専門家は「もしこのまま行けば、数年を待たずして、セツレンカという貴重な生物が地球上から姿を消してしまう」と警鐘を鳴らす。
天山のセツレンカを守るため、新疆野生動植物保護協会セツレンカ保護分会は、天山山脈の放牧地や観光地で、セツレンカ保護を訴える広報活動を展開。不法採集をやめるよう呼びかけている。
中国科学院(科学アカデミー)新疆理化技術研究所は、クローン技術を応用したセツレンカの人工栽培を研究。2004年には、天山山脈・天池付近で人工栽培をはじめており、すでに一部が花をつけ始めているという。漢方薬市場でのセツレンカの需要を人工栽培でまかなおうという取り組みに、光明が見えつつある。(編集UM)
写真(1):石の傍に生えているセツレンカに見入る、天山の畜産家
写真(2):フォーラムを開きセツレンカ保護を訴える、新疆野生動植物保護協会セツレンカ保護分会=天山山脈の博格達自然保護区で
「人民網日本語版」
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