今年に入ってから、中国経済は驚くほどの急成長を呈しています。第一四半期のGDPは投資や輸出の増加によって1割増えたのに続き、4月と5月の二ヶ月間で、固定資産への投資と人民元貸付総額はいずれも大きい増加をしています。このような成長ぶりに対して経済学者は憂慮しています。ある経済学者は北京放送のインタビューを受けた際、投資と貸付の急増をコントロールするのは経済の安定した発展を保つための要素となると見ています。
中国の政府筋が発表した統計によりますと、今年の1月から5月までの間に、中国社会の固定資産への投資は去年同期より30%増えたほか、人民元の貸付総額も8000億元伸びました。中国社会科学院の経済学者である袁鋼明氏はこれについて、中国経済はすでに過熱化の兆しを呈していると警告しました。袁鋼明氏は「全体から見ると、1月から5月までは、経済が速いスピードで増加する状態が続き、その成長ぶりにはスローダウンの兆しが見れらなかった。投資総額も30%増となったほか、商品の小売総額は5月、14.2%も伸びた。これはここ十数年間になかった現象だ。だから、経済はいま過熱化しているのではないかと思う」と述べています。
袁鋼明氏が憂慮しているのは実は中国政府の心配でもあります。温家宝首相は最近行った国務院常務会議で、二回連続して大型総合建設プロジェクトの土地認可や都市の建設規模を厳しく制限することを提案しました。それと同時に、銀行の中長期貸付を控え、それを通して、固定資産への投資や貸付の急増にブレーキをかけることが望しいとしています。
中国政府が実施した具体的な措置の中で、最も注目されるのは金融政策です。4月28日、中国の中央銀行である中国人民銀行は人民元での貸付金利を引き上げることを発表しました。そして、貸付の多い銀行は人民銀行から2000億元の有価証券を購入するよう要請したほか、7月1日から人民元の預金準備率を高めることにしました。これらの行動によって、貸付が鈍化する一方、銀行側はより多くの資金を中央銀行に預託しなければならなくなります。
これらの措置について、中国政府の諮問機関である国務院発展研究センターの金融専門家の巴曙松氏はこう語りました。「その第一歩として、貸付の金利を0.27ポイントを引き上げた。これは非常に穏やかな調整で、その主な目的は貸付へのニーズを抑制するためだ。それから中央銀行の有価証券を発行するのは、相当の流動資金を吸収するのと同じだ。中央銀行の有価証券は譲れず、抵当もできないから、この部分の資金は凍結されたといってもよい。また、預金準備率を引き上げるのも市場の安定を維持するためだ」としています。
経済学者らは、4月と5月の二ヶ月間の投資と貸付の急増から、中国経済に対するマクロ調整政策が効果的ではないという結論を出すのはまだ早いと示しています。中国社会科学院の袁鋼明氏によりますと、第一四半期の経済運営指数が発表された後、政府は生産過剰の一部業界に対して警告を出したほか、大型総合建設プロジェクトの着工認可を厳しくすることを地方自治体に要求しました。これらの政府の調整手段と金融的調整措置の実施によって、固定資産への投資と貸付の急増ぶりが幾分緩やかになっています。(文章:王丹丹)(06/21)
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