中国の立法機関である全国人民代表大会の常務委員会は20日、『労働契約法』草案を全文発表し、これを労働者の合法的な権益をよりよく保護できる法律にするため社会各界の意見を聴取していくことになっています。
中国の現行の労働契約制度はこれまで12年も実施されてきました。市場経済の発展につれ、中国の雇用制度や労働契約の性質などには大きな変化がおこっているので、『労働契約法』の制定は急務となっていたのです。去年末、『労働契約法』草案は全国人民代表大会の審議に付され、雇用企業の果たすべき義務、労働契約の成立方式などについて明確な規定が設けられたほか、雇用企業による悪質な賃金支払い拒否、経済的補償支払いの滞りなどの行為を如何に懲罰するかを決めました。中国労働社会保障省法制局の芮(ゼイ)立新副局長は20日、『労働契約法』の立法宗旨について「まずは労働者の合法的な権益を保護していく。そして、もう一つは、社会と経済の発展を促すため、労働関係の安定性を促していく」と語りました。
ここ数年、全国人民代表大会常務委員会は立法における科学化と民主化を推進するため、いくつかの有益な模索活動を行いましたが、『労働契約法』草案がいま全文発表され、これについての意見を聴取するのは、いったいどんな考えを基にしているのでしょうか。これについて、全人代常務委員会法制活動委員会行政法室の李援主任は「『労働契約法』は国民の切実な利益にかかわる非常に重要な法律である。常務委員会もその審議で、この草案のすべての条項について、それぞれ十分に意見を発表した。」としています。
また、草案発表後、社会各界からの意見などはこの法律制定にどんな影響を与えるのでしょうか。これについて、全人代常務委員会法制活動委員会の信春鷹副主任は、「草案を全文発表し、各方面から意見、特に一般労働者の意見を聞かせてもらいたい。意見聴取の期限は一ヶ月だが、この間に私たちは社会から集めた意見をリアルタイムにフィードバックするつもりだ。そして、各方面からの意見を十分考慮し、調査研究を行った上で、将来、草案改正での参考にしたい」と述べています。
この『労働契約法』草案の内容に対して、中国の国民、特に法律関係者たちは大きな注目を払っています。中国南部福建省から来た張道勝さんは、「『労働契約法』では雇用側の責任と義務を強調しているが、実際には、一部の労働者は契約に違和感を持ち、契約を履行しない例もある。しかし、この草案では、この面についての詳しい規定や制限が書かれていない。この面についてもっと充実できたらと思う」と語っています。
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