パレスチナ自治政府のハニヤ首相は19日夜、ガザ市でアッバス議長に組閣名簿を提出し、ハマス主導の次期パレスチナ自治政府が間もなく発足することになりました。
1月のパレスチナ評議会選挙でイスラム抵抗運動・ハマスが大勝し、先月21日から組閣を開始しました。
しかし、組閣をめぐる協議でハマスがパレスチナ解放機構の主流派ファタハなど各派との対立が解決されていないため、連立政府の樹立が実現できず、ハマスの単独組閣となっています。
ハマス主導の内閣は24人で構成されます。
そのうち、ハマス所属のパレスチナ評議会評議員や無所属の著名人、専門家など大きな割合を占めているものの、外相、内相などの重要閣僚はハマスの中核幹部が指名されています。
副首相兼教育相は48歳で穏健派のシャエル氏、内相はパレスチナ治安部隊の指揮官サイアム氏、外相は強硬派でガザ地区の指導者ザハル氏が充てられています。
次期自治政府の行政綱領についてハニヤ首相は「如何なる方式によるイスラエル占領への抵抗はパレスチナ人の合法的権利である。次期自治政府はユダヤ人入植地を一掃し、エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立を求める」と明らかにしました。
アッバス議長はハニヤ氏を首相に指名した先月21日、パレスチナ民族評議会が1988年採択した独立宣言、アラブ連盟首脳会議の決議、パレスチナ問題に関する国連の決議を遵守するよう要求しました。
これに対し、ハマスはこれらの文書にはイスラエルへの承認が含まれているという理由で要求を拒否しました。
ハマスはまた、イスラエルの占領を終結させ、パレスチナ難民の帰還を確保し、パレスチナ人拘束者を釈放するなど次期自治政府の政治綱領を制定しました。
ハマスによる次期パレスチナ自治政府の単独組閣に対し、パレチナ人社会から「多くのリスクに直面していくだろう」との見方が出ています。
各派との連立交渉に失敗し、ハマス主導の内閣は広汎なパレスチナ人の民意を代表していないため、行政的基盤は弱くなります。
内閣の要職が全員ハマス幹部を指名したため、西側の承認と支持を得ることは難しくなり、イスラエルからの抵抗も避けられません。
イスラエルはテロリズムを放棄しない限りハマスとの接触は不可能であると表明し、代行徴収したパレスチナ政府の税金数千万ドルの送金を停止し、ハニヤ首相と10人の閣僚をガザ地帯で包囲しています。
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