中国の最高国家権力機関である全国人民代表大会の年次会議は5日から始まりますが、このことは中国の国民の政治生活にとっては大きな出来事だといえます。人民代表大会制度は中国の根本的な政治制度で、中国政権の構成形式でもあるのです。

　中国では国のすべての権力は国民にあります。国民のこの権力を行使するのが全国人民代表大会と地方の各級人民代表大会です。全国あるいは地方の各級人民代表大会は、すべて民主的選挙によって選出されたものです。中国の人民代表大会は、全国、省、県、郷という4つのクラスに分かれています。中国の各クラスの行政、裁判と検察の機関は各級の人民代表大会が選出し、これら機関は人民代表大会に対して責任をもち、また人民代表大会からの監督を受けます。国の立法、政策の決定と執行、またそれに対する監督などの部門の活動は国民の意志を表し、国民の利益を確保しなくてはなりません。

　中国では、全国人民代表大会が国の最高権力機関で、地方の各クラスの人民代表大会は地方における国家権力機関です。今、各クラスの代表が290万人いますが、そのうち、全人代代表が3000人近くに達しているのです。つまり人口13億の中国は43万人ごとに1人の全人代の代表が出ることになります。全人代の代表の任期は5年です。

　中国は面積が広く、56の民族があり、人口も世界一です。このため、全人代の代表には各地域、各民族、各分野からの人たちが含まれています。この代表たちのほとんどが兼職で、普段はそれぞれの地区で他の職業につき、多くの分野を代表できます。人民代表大会制度はすべての中国人が国の主人公として国の建設に参加することを促しているのです。

　全人代の主な任務は、憲法の修正とその実施に対する監督、重要な法律の制定と修正、政府と最高裁判所、最高人民検察院に対する監督、国家の大事にかかわる重要問題の決定、国家の指導者の選出などです。したがって年次会議で代表たちは政府の活動報告を含む多くの報告を審議し、それ相応の決議を行うのです。また代表たちは審議権、提案権、選挙権、表決権、質問権、免除権などの権力の行使を通じて国を管理する活動に参加します。大会の閉会期間中、全人代の常設機構である常務委員会が国の最高権力を実施します。

　1954年に第1期全国人民代表大会の第1回会議が行われてから、全人代とその常務委員会はこれまで合わせて400あまりの法律を審議し可決しました。そして、今では中国の特色をもつ法的システムがすでに出来上がっているのです。3月の5日から14日にかけて北京で行われる今年の全人代年次会議は第10期全人代の第4回会議です。席上、代表たちは温家宝首相の政府活動報告を聴取し、これを審議し、また、「国民経済と社会発展の第11期5カ年計画の綱要」を審議し、向こう5年間の中国の経済と社会の発展方向を決めます。このほか、代表たちはホット問題と庶民の生活にかかわる問題、例えば農業、農村と農民問題に対する国の政策、医療衛生改革、環境保護と生態整備、腐敗取締りと清廉な執政活動などをめぐって討議することになっているのです。