サウジアラビア最大の石油製錬場でこのほど自爆テロ未遂事件が発生し、サウジアラビアの治安部門は急遽捜査を行った結果、捜査の対象を領内の武装勢力アルカイダに定めました。27日、サウジアラビアの治安部隊は武装勢力のメンバー5人を射殺しました。
サウジアラビア内政省は27日声明を発表し、「サウジアラビアの治安部隊は27日、首都リヤド東部の2ヶ所を捜査し、テロ容疑者5人を射殺、1人を逮捕した。捜査の際、治安部隊は大量の銃や弾薬などを手に入れた」としています。また、サウジアラビア内政省の報道官は「射殺、逮捕された6人の武装勢力メンバーは24日サウジアラビア東部のアブカイク石油製錬場の襲撃事件に関わっていたことを確認しました。
アブカイク石油製錬場はサウジアラビア東部にあり、ペルシャ湾に近く、世界最大の製錬施設でもあります。サウジアラビア全国で産出される三分の二の原油はここで加工されています。24日、2人の自爆テロリストは爆弾を満載した自動車を運転して製錬場のセーフティラインを突破しようとし、石油施設の襲撃を試みました。警備員に阻止され、その後、容疑者は自動車を爆破させました。2人のテロ容疑者と2人の警備員が死亡、6人が負傷、パイプライン一本が破壊されました。サウジアラビアのアルカイダ勢力は25日インターネットを通じて犯行声明を発表し、これからも多くのサウジアラビアの石油施設を襲撃すると脅迫しています。サウジアラビア内政省は26日、テロ容疑者の身元を確認し、2人ともサウジアラビアが去年6月指名手配した15人の中に含まれていたと明らかにしました。
アラブ諸国のメディアによりますと、24日の自爆テロ未遂はアルカイダが初めて行ったサウジアラビア領内の石油施設に対する攻撃です。サウジアラビアは石油の貯蔵量が世界で最も多い国で、また、世界一の石油輸出国でもあり、国際原油価格の安定にも大きな役割を果たしています。襲撃事件発生後、ニューヨーク取引所の原油価格は1バレルあたり2ドル上昇しました。アルカイダは今後も湾岸地区の他の国の石油施設を狙い、これからの国際原油市場の安定に大きな脅威を与えるでしょう。
一方、一部の湾岸エネルギー業界の関係者は今後の原油市場を楽観視しています。カタールのアティアエネルギー産業相は26日、「湾岸の石油生産国は最高レベルの治安措置を講じ、『アルカイダ』の脅威を乗り越えていく」と語りました。
サウジアラビアはアルカイダの指導者ビン・ラディン氏の出生地です。2003年5月以来、アルカイダはサウジアラビアの王朝支配への反対を口実に、国内にいる外国人や政府機関に対する一連のテロを行い、数百人を死亡させ、以後、サウジアラビアはテロが最も深刻な国の一つとなりました。
関係者は、サウジアラビア政府がこの自爆テロを阻止し、短期間で容疑者の身元を確認し、捜査を展開できたことは、サウジアラビア政府がここ数年石油施設の治安維持を強め、テロ取締りに努力していることを示していると見ています。一方、この事件によって、アルカイダは依然としてサウジアラビア領内でテロを行う能力を持っており、サウジアラビアのテロ取締りの道程がまだまだ遠いことが分かりました。
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