イスラエル軍は27日夜ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプを空爆し、イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」の高級幹部2人を含めたパレスチナ人7人が死亡しました。
今回の空爆は26日イスラエルの海岸都市ハデラで発生した自爆テロへの報復攻撃です。
この事件により、予定されているイスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長との会談は延期され、この2月からの停戦合意も試練を立たされています。
目撃者によりますと、イスラエル軍の無人攻撃機がジャバリヤ難民キャンプを走行中の車を標的にしてミサイルを撃ち込み、車に乗っていた「イスラム聖戦」の軍事指揮官と助手2人が死亡しました。また、ミサイルの爆発により、15歳の少年を含む通行人5人も死亡しました。
空爆の後、イスラエル軍は声明を発表し、イスラム聖戦の高級幹部に対する安全行動を実施したと認めた上、「標的となったイスラム聖戦の幹部はパレスチナとイスラエルの停戦合意を無視してイスラエル南部に対する砲撃を直接指揮した」と指摘しました。
これを受け、「イスラム聖戦」のスポークスマンはイスラエルの軍事行動に対する迅速で厳しい報復を実施すると発表し、パレスチナの武装勢力「アルアクサ殉教者旅団」の指導者はガザ地区で、「パレスチナとイスラエルの停戦合意から離脱する」と発表しました。
イスラエル政府は26日にハデラ市で発生した自爆テロを受け、パレスチナ自治区に対する軍事行動を決定しました。
今回のガザ空爆はその攻撃の一環であり、イスラエル軍は27日ヨルダン川西岸の都市ジェニンでイスラム聖戦の高級幹部1人を逮捕しました。
イスラエル軍によりますと、今回の軍事行動はイスラム聖戦への打撃が目的であり、ガザ地区北部ではパレスチナ武装勢力のカッサム・ロケット基地を攻撃し、ヨルダン川西岸では通路を封鎖し、戒厳を実施してジェニンとトルカルム及びその周辺の村でイスラム聖戦のメンバーを掃討したとのことです。
イスラエルのシャロン首相は27日、「イスラエルの軍事行動は持続的でパレスチナ武装勢力のテロ活動が停止するまで徹底する。当面の情勢ではパレスチナ自治政府のアッバス議長との会談は不可能である。アッバス議長がパレスチナ武装勢力への攻撃を強化する限り、和平プロセスに進展はない」と強調しました。
シャロン首相とアッバス議長はイスラエルの一方的撤退計画が完了した後の和平プロセスをめぐる協議を今月中旬に行なう予定でしたが、重要問題での意見の対立があるため、今月末或いは11月上旬に延期すると決定しました。
パレスチナ自治政府のクレイ首相は27日「ハデラ自爆テロへの過度な報復は情勢を激化させるだけだ」と指摘しました。
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