朝鮮外務省は10日、「朝鮮半島の核問題を解決するため、六カ国協議の実質的進展に全力を尽くす」と発表しました。朝鮮中央放送は今月下旬に6カ国協議に復帰すると発表しました。
これに対し、6カ国協議参加各国は歓迎を示し、協議の再開は確実となっています。
9日、朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官とアメリカのヘル国務次官補は北京で協議を行いました。朝鮮側の発表によりますと、今回の協議でアメリカは朝鮮を主権国家と認め、侵攻の意図がなく、6カ国協議の枠内で朝鮮との両国間協議を行なうとの立場を示しました。
これに対し、朝鮮側はアメリカの立場が「圧制の拠点」という発言の撤回と理解し、今月末に6カ国協議に復帰することを決定すると発表しました。
中国の胡錦涛国家主席は10日北京でアメリカのライス国務長官と会談しました。その中で胡錦涛国家主席は「中国は6カ国協議の再開を歓迎し、再開に向けた関係諸国の努力を賞賛する」と述べました。
ライス国務長官は「アメリカ政府は朝鮮が6カ国協議への復帰を同意したことを歓迎し、再開される協議は進展を収めるよう期待する」と述べました。
朝鮮の6カ国協議復帰に韓国、日本、ロシア3国も歓迎の意を表しました。
今年2月、朝鮮は核兵器の保有と6カ国協議への参加を中断すると宣言し、アメリカとの関係が激化しました。
朝鮮側はアメリカに対し、主権国家を認め、圧制の拠点という発言を撤回し、6カ国協議の枠内における平等な姿勢での軍縮協議を行なうよう要求しました。
これに対し、アメリカは6カ国協議へ無条件で復帰し、核計画の放棄を徹底しなければならないと強硬な立場を示し、朝鮮の核問題を国連安保理に付託し、経済制裁を実施するよう圧力をかけました。
アメリカと朝鮮の厳しい対立で6カ国協議の再開に不透明感が濃厚となっていました。
こうした難局に対し、双方は対立の激化が問題解決の障害になると認識して緩和の姿勢を見せています。
朝鮮側は「朝鮮半島の非核化が最終目的であり、条件が整った場合6カ国協議に復帰する」と表明し、朝鮮のメディアもアメリカに対する批判を緩和しました。
アメリカ側ではライス国務長官などの政府高官はそれぞれ朝鮮の主権国家を認める発言を行い、ブッシュ大統領は金正日(キム・ジョンイル)総書記に対する呼称を「圧制者」から「ミスター」に変更し、「朝鮮半島核問題の解決で双方は外交手段を尽くすべきだ」と強調しました。
朝鮮とアメリカの対立緩和で中国、韓国などの関係諸国が積極的な仲介を行ないました。中国側は外務省の戴秉国外務次官と中国共産党中央連絡部の王家瑞部長はそれぞれアメリカと朝鮮を訪問し、シャトル外交を展開しました。また、唐家セン国務委員はこの12日から14日にかけて、胡錦涛国家主席の特使として朝鮮を公式訪問することになっています。
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