ドイツのシュレーダ首相は2日、ルクセンブルクでEU・欧州連合の輪番議長国ルクセンブルクのジュンケル首相と会談を行いましたが、明日4日にはフランスのシラク大統領とベルリンで会談を行うことになっています。これはフランスとオランダで行なわれた国民投票で「欧州憲法条約」が否決された後、EU 及びその加盟国の指導者がすでに緊急行動をとり、「欧州憲法条約」批准危機に対応し、6月中旬に開かれる欧州首脳会議で危機解決の方法を探ろうとしていることを示しています。

　シュレーダ首相はルクセンブルクでジュンケル首相と「欧州憲法条約」の危機について約1時間にわたった会談を行い、会談後の記者会見で「EU 加盟国全員が欧州憲法条約の批准手続きを完成することは非常に重要なことだ。EU はこの過程の最終段階にならないと、次段階に移る決定を行なうことが出来ない。現段階では、如何なる過度な反応も間違いだ。」と述べました。

　実は、ジュンケル首相は5月29日、フランスが「欧州憲法条約」を否決した後、すでに、EU のあらゆる加盟国の指導者と電話会談をしました。EU 首脳会議開催前、ジュンケル首相はまた、各加盟国の指導者とそれぞれルクセンブルクで会談し、EU の当面の情勢について討議するとのことです。

　このほか、欧州委員会、欧州議会もまもなく、特別会議を開き、欧州憲法危機を討議することになっています。この条約はEU 創始国のフランスとオランダの否決を受けたものの、EU指導者は依然として、決定がまだ行なわれていないその他の加盟国の批准手続きの完成推進に尽力しています。ところで、イギリスは早くても来週の月曜日に欧州憲法条約の批准手続きの中止発表をするという報道がありました。AP 通信によりますと、イギリス外務省報道筋は、イギリスは来年に行なう予定の「欧州憲法条約」批准について国民投票を無期限に凍結したとのことです。

　こうした可能性のある状況について、欧州委員会のバロゾ委員長はオランダが「欧州憲法条約」を否決した当日夜の記者会見で、EU 首脳会議が決定を行なう前に、批准の手続きを一方的に中止する如何なる行動も取らないよう加盟国に呼びかけました。　ロバゾ委員長はまた2日、欧州議会の各党派と団体の指導者と会談を行った後、各加盟国の政府指導者、特に国家元首が如何なる個人、或いは一方的な決定をせず、現在、EU のおかれている特殊な時期に慎重な態度と責任感を取るよう希望しました。

　欧州委員会のレバールスポークスマンは2日、「現在まで、如何なる加盟国による批准手続きの中止決定を受けていない。欧州首脳会議ではEU の直面する状況について討議するが、会議ではどんな決定が行われるかが今のところわからない」と話しました。

　欧州憲法危機に対し、いくつかの加盟国は一部の新しい案を提案する準備をしています。例えば、チェコスロバキアは［欧州憲法条約］批准の最終期限を2006年以後に延長することを提案する予定で、オーストリアのシュッセル首相はEU 加盟諸国の国民全員によ投票を提案しました。これらの提案について今月の中旬のEU 首脳会議で 討議されるとのことです。