路地を出て、さらに大通りを南下すると「国子監通り」と書かれた標識が見えました。寺院や古代の教育機関のあった場所だけあって、他の案内板にも「書店」「精進料理レストラン」の文字も見えます。国子監は昔、貴族の子弟や秀才を教育した最高学府で、その隣には孔子を祀った孔廟があります。国子監を卒業した人には、当時の高級官僚の試験にあたる科挙試験に参加する資格が与えられたそうですが、その試験はとにかく難しかったらしく、難関をパスできるのは3000人に1人とも言われていたようです。今でも合格者の名前が刻まれた石碑を見ることができます。この国子監は孔廟ともに、現在は建国以来初の大規模改修工事が行われていました。
この国子監通りを入ったところで、近所の人が集って将棋をさしていました。大通りから一歩入った路地では、のんびりとした雰囲気が感じられます。将棋をさしていた人たちも、みんな自分のお店の前に小さなイスと机を出して、店番そこそこに将棋をさしていました。すると、一人二人と集ってきて「この一手は危ないぞ、ここのほうがいいよ」と、しきりにアドバイスしています。どうやら将棋は店番をしながらの定番ゲームのようで、ここだけではなく向かい側の店の前にも将棋台が出ていました。
大通りの向こう側は、北京で最大規模のチベット寺院「雍和宮」です。チベット族のほか、満族、漢族、モンゴル族の建築様式が混じりあい、独特の雰囲気です。入口のチケット売り場には外国人の姿もよく見られます。
お線香の香りが漂う雍和宮をあとにして、大通りをさらに南下します。昔は平屋の家屋が多かった通りですが、繁華街へ近づくにつれ、新しいマンションやビルなどが目立ちます。雍和宮周辺には住宅が多いため、銀行、雑貨屋、小さな食品店や洋服を売る店が続いています。しばらく歩くと、香ばしい、いい匂いがしてきました。見ると通り沿いには「宮廷桃酥王」と書かれたお菓子屋があります。店頭のショーケースにはスポンジケーキや、昔ながらの手作りクッキーなどが並んでいて、とても美味しそうです。店員さんに聞いてみたところ、主に北京風のクッキーである桃酥や、ケーキ、パンの焼きたてを売っているそうです。桃酥は北京の伝統的なお菓子で、甘い味、しょっぱい味と様々な種類がありますが、なかでも丸くて白胡麻が入ったものがいちばんよく売れているようです。ほかに、瓜の種入りやピーナッツ入り、胡桃入りのものもあります。桃酥の主な原料は、バター、卵、砂糖、クリーム、粉で、ミキサーで混ぜてからオーブンで20分から30分ほど焼きます。値段は500グラム6元、7元、8元の3種類です。
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