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ところで、中国では昔から旧正月に餃子を食べる習慣があります。で、それにまつわる話はいろいろあるようですが、今日はそのうちの一つをご紹介しましょう。
題して「百個目の料理」
むかしむかし、ある王は自分が年をとり、やがては死んでいくことを恐れ、長生不老の策はないかと大臣たちに聞いた。そこで王の機嫌ばかり取っているずる賢いある大臣が献言した。
「申し上げます。もし百種類の料理を食べられれば、いつまでも若さを保ち、死ななくともすむと私めは聞きました。」
「ほほ?それはまことか?」
「はい。間違いありませぬ。ですから、各地から腕のよい料理人をよ選び、毎日三食新しい料理を作らせてお食べになされますれば、若さを保て、死なずにすむのでは?」
「それもそうじゃのう!では腕のよい料理人を探せ!」
ということになり、王二というかなり優れた料理人が選ばれ、それから33日というもの毎日三食を王のためにいろいろ工夫して異なるおいしい料理を作った。王はいずれも満足だったようだ。そしてあと一食で百食目という前の夜、時はもうすぐお正月という頃のこと。
王二はその夜床に横たわり喜んだ。

「明日の一食で、百食作ったことになる。そうすれば金をもらって家に帰り、久しぶりに妻や子供と一緒に年を楽しく越せるというもの。楽しみだなあ」
翌日、王二はなんと、先日残った羊の肉と野菜をみじん切りにして混ぜ合わせ適当な味をつけて具とし、それを小麦粉に水を加えて練って作った皮に包み、お湯でしっかり茹でたあと王に出した。
この珍しい料理に王は目を見張り、「なんとこれだけか?」と聞いた。
そこで王二が「それを冷めないうちにお食べくだされ」というので、王はさっそく箸で一つ取ってパクリ。
「むほほ!これはうまいぞ!これはうまい!」とむしゃむしゃ食べ、瞬く間に食べ終わった。
「これはうまい。明日もこれを食べるぞ!」と王は言い出し、無理やりに王二を引き止め、王二が騒ぐので料理を作るとき以外は閉じ込めてしまった。そこで王二は正月には家族と会いたいばかりに二回ほど逃げ出したが、うまくいかなかった。こうして王二は絶望し、正月の1日の夜、なんと王を罵ったあと首をつって死んだという。
このことをあとで知った人々は王二のことをしのび、お正月に王二と同じように小麦粉に水を加えて練って皮で、肉と野菜を刻んで味をつけたものを包み、茹でて食べ始めたという。
え?いつごろからそれが餃子と呼ばれ始めたって?それはわからないという!!
そろそろ時間のようです。では来週、お会いいたしましょう。
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