北京と天津をグルリと取り囲むような形の河北省。
三国時代の劉備・張飛・趙雲をはじめ、郭守敬(元代の天文学家・数学家)や曹雪芹(清代の小説家。「紅楼夢」の作者)などを輩出しており、万里の長城や承徳避暑山荘、清東陵、清西陵といった歴史文化遺産が多いことでも有名です。また、近年は経済発展もめざましく、経済成長率は4年連続2ケタ増加で推移しています。その河北省の現状を視察するため、私たちCRI取材団は18日河北省入りしました。
北京から南へ延びる北石高速道路をバスでひた走ると、4時間弱で省都・石家庄に到着。北京から石家庄へは鉄道も便利で、快速列車に乗ればおよそ2時間で着くことが出来ます。
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19日の式典での王東梅副局長(左)と河北省党委員会宣伝部の聶辰席部長(1) |
19日の式典での王東梅副局長(左)と河北省党委員会宣伝部の聶辰席部長(2) |
まず、石家庄市内の河北会堂で、結団式をかねた記念式典が行われました。式典には、石家庄市市長など河北省関係者も多数駆けつけてくださいました。
河北省の概況などについて説明を受けたあと、私たちは最初の取材箇所である「呉橋(WUQIAO)県」という街を目指しました。
(式典での末永記者)
「呉橋」は、石家庄から南東へ2時間半、山東省との境に位置する小さな街です。作物の刈り入れがすでに終わっているせいか、晩秋の農村風景はどことなく寒々しいものがありました。畑の間に延びる、何とものどかな一本道をバスで走っていくと、前方に大きな看板が見えてきました。そこに書かれていたのは、「雑技」の2文字。「?????」
実はこの「呉橋」は、中国雑技の発祥地として非常に有名な街だったのです。伝承によると、南北朝時代にはすでに雑技文化が興っており、元代に入るとその名が全国に知られるようになったとか。清代の皇帝も「呉橋雑技」をこよなく愛し、「呉橋」の芸人がたびたび宮廷に招かれていたようです。
現在、「呉橋」には全部で29の雑技団があり、それらに所属する芸人はあわせて900人にのぼると言われています。特に、1955年に結成された「中国呉橋雑技団」は、国内はもとより、世界各国で公演を行っています。
この「中国呉橋雑技団」の舞台を鑑賞させてもらいましたが、皿回しやアクロバティックな空中技などが次々繰り広げられ、ハラハラドキドキ。日本でも人気の高い中国雑技ですが、本場で見るとまた格別なものがあります。
劇場周辺には雑技芸術学校や「呉橋雑技大世界」というテーマパーク(?)も併設されており、まさに「雑技の里」。特に最近は、「呉橋」へ雑技を学びにやってくる外国人も増えているのだとか。雑技芸術学校によると、これまでにアメリカや韓国、アフリカ諸国から100名近くが雑技留学したそうです。
一見何の変哲もない農村だと思っていたら、そこには長い歴史に育まれた、確かな「技」が脈々と伝えられていたのでした。
河北省もこの貴重な文化遺産を重視し、2年に1度、「呉橋国際雑技芸術節(CHINA WUQIAO INTERNATIONAL CIRCUS FESTIVAL)」を開催しています。11回目を迎えた今年は、10月27日から11月4日の9日間にわたって行われ、ロシアやブラジル、アメリカ、モンゴルなど16カ国32団体が参加。雑技を通した国際交流、雑技文化保護に取り組んでいます。(編集:末永)
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