北京放送ウェブでの掲載に寄せて
稲垣喬方
この度、北京放送(CRI)のホームページ上に私が中国奥地で撮影した山村風景記録の写真を掲載することになりました。
【消えゆく中国の原風景を記録したい】
私は多感な少年時代を北京で暮らしました。中国は私にとっては第2の故郷であり、いつも心の中には、中国の事が浮かびます。その中国は今や目覚しい発展をし続けていますが、一方では、この発展の陰で数々の中国奥地の独特の美しい山村風景が日々消滅の一途をたどっています。かつての日本においても全く同じような苦い経験があり、経済成長と生活の利便を追い求めることに熱中した結果、二度と取り返せぬ幾多の日本の財産を消滅させてしまいました。
白と黄の畑の対比、中央の独立樹が引き立てる(2006年10月 浙江省慶元県)
しかし、幸い、当時の日本の山村風景は、私が数十年かかって撮影記録をした結果、写真集として残せた上、その一部の地はその事により、伝統建造物群保存地区の指定を受け(京都南丹市美山町)、日本の貴重な財産として残すことができました。思うに、この同じ事が中国にも波及している現状で、何としても二度と取り返せぬ姿を中国のためにも、今、「記録して残しておかねば」と数年前より撮影し続けており、その一部を今回公開することになりました。