北京
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「全商品が美しくディスプレーされて、まるで開業日のようだ」。中国のあるスーパーマーケットについて報じた日本経済新聞の記事に興味をそそられた。興味深かったのは、中国で「小売業の奇跡」と称されるこの企業が位置するのが、北京や上海、広州などのメガシティーではなく、地理的な位置も経済力も目立たない中国中部の河南省許昌市ということだ。記事によると、新型コロナウイルス禍やネット通販の台頭で多くの小売り大手が苦戦するなか、このスーパーマーケットの業績は堅調で、世界大手の幹部が相次いで視察しているという。
この日本人記者と筆者が共に最も興味をそそられたのは、このスーパーマーケットが実は日本とのつながりも深いということだ。創業者は、日本企業の仕事ぶりを尊敬し、店舗の入り口の看板に同社が「学習」する日本企業の名を掲げている。店内には「素養(SHITSUKE)」「清掃(SEISO)」などと書かれたスローガンが目立つ。記事は、創業約30年のこの企業について、「これまで幾多の難局に直面しながらも一歩ずつ進化を遂げてきた。苦戦が続く日本の流通業界が学ぶ点は少なくないはずだ」と結んでいる。
中日両国は「文化同根」であり「衣食同源」でもある。中国では改革開放から40年余り、特に「急速な発展」に入ったこの20年、成功した企業の多くが、日本の進んだ企業経営文化・理念の恩恵を受けている。中国のフラッグシップカンパニー、華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非氏の言葉や表情には、京セラの創業者である稲盛和夫氏に対する敬意がにじみ出ている。阿里巴巴(アリババ)とソフトバンクは世界トップクラスの企業を誕生させた。宅配業界では、初期の宅急送から今日の順豊などに至るまで、中国の多くの企業が、サービスが完備している日本の宅配業界に啓発され、その影響を受けている。こうした例は枚挙にいとまがない。
日本経済新聞の記事にもあるように、時代が進歩し、社会と経済が発展するにつれ、中日両国は現在、企業が相互に学習し、長所を取り入れ短所を補う新たな段階に突入している。両国の協力初期には、日本には技術と資金が、中国には労働力と市場がそれぞれあった。今日では両者の資金規模と技術水準には差がほとんどなく、電気自動車(EV)や人工知能(AI)などの分野ではむしろ発展のスピードは中国の方が若干速い。近年、中国企業がシャープやデサントなどの日本の大手企業に出資して勢いや活力を取り戻させたことは、両国の経済・貿易協力における新たな美談であり、そうした現実の活写でもある。
もちろん、協力とは順風満帆ではなく、理念の違いや利益の衝突のために調和が乱れることもある。「日本製」の魂であり誇りとされた「匠の精神」について考え直す動きは、中国の企業だけでなく日本の企業においても見られる。そうした精神は、高品質な製品を作り、ブランドの評判を高めるという面では間違いなく前向きなもので、理念の輝かしい側面でもある一方で、何年にもわたって努力し、大量の労働力と物資を投じても、企業にとっては見返りが遅く、黒字化が難しい上、技術革新の歩みにも遅れてしまいかねない。さらに言えば、過剰な品質と過剰な機能のために消費者に多くの金を支払わせる必要はあるのだろうか。理念の違いによって双方にしこりが残ったり、ささいな恨みを抱いたりしては、企業の発展に及ぼす悪影響は小さくない。
これらが映し出しているのは、時代は急速に発展し、事物は千差万別で、永遠の教師も永遠の教え子も存在せず、永久不変の法則はなく、どこにでも適用できるような発展の道もないという道理だ。協力とは、謙虚な態度で互いに尊重し相談し理解し合って初めて、協力の合成力と創造の原動力が形作られ、最終的に双方の共通利益の拡大につながる。それはビジネスだけでなく国家間においても同様だ。ウィンウィンの協力の実現とは素晴らしいものだ。(CRI日本語部論説員)