北京
PM2.577
23/19
李克強総理が第13期全国人民代表大会第5回会議で行った政府活動報告について、日本人経済学者の西村友作氏は7日、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビューに対し、「現在の中国経済が抱える課題を的確に見極めたうえで、その対策がしっかりと反映された内容だ」と評価しています。
第13期全国人民代表大会第5回会議 開幕の様子
今年の政府活動報告に掲げた、「5.5%増」という2022年度の中国経済の成長目標に対し、西村氏は、「中国国内にはまだまだ経済発展を必要としている地方が数多く存在するため、妥当な数字だ」という見方を示しています。
また、報告の中で指摘された「需要の縮小、供給ショック、経済の先行きに対する期待の低下」という「三重の圧力」に対しては、「問題を根本的に解消するには、新型コロナの収束が必要だが、先行きが見通せない中、中国政府は、コロナとの戦いを継続しつつ、減税や手数料引き下げなど、特に影響の大きい中小零細企業向けの支援を強化していく方針が示されている」とプラスに評価しています。
西村友作氏
地方政府の財政問題への対策として、「中央から地方への財政移転を前の年に比べて18%増加となる9兆8000億元」という最大の伸びを示した方針について、西村氏は「ショックを緩和しつつ、低所得者向け住宅開発のような、不動産産業の新たな成長モデルを模索していく政策を進めていくとみられる」と分析しています。
また、「長期的にみれば、中国経済が好転に向かうファンダメンタルズ(基礎的条件)は変わっていない」という李総理の指摘に対し、西村氏は賛同の意向を示しています。
その理由について西村氏は「中国の経済の発展段階は、日本のような先進国と比べると、まだ“若い”という点がある。経済成長の余地は依然として大きい。短期的にみると、新型コロナの影響による景気の下振れ圧力が存在する。しかし、中長期的には比較的高い経済成長を続けていく」という見方を示しています。
そのうえで、「中国は、世界の工場、世界の市場として、グローバル社会と緊密につながっており、世界各国の中国経済への依存度は高まっている。今後、中国経済が安定して発展し続けていくことこそが、世界経済にとってもとても重要だ」と指摘しています。
(取材&記事:王小燕、校正:CK)